珠樹の計算だと、まだ28週に入った所の筈なのよ。つわりが軽かったので油断したのとは違うけど、お口の出血で彼も非常事態だと慌てたのね。少し早く脳と呼吸器の成長が始まったので、母親の粘膜細胞の補給が出来なく成ったのね。
母には詳しく聞いてましたのよ。7年一緒に居る中で、明るい話題と言ったら私の育ちを聴くだけだったのですもの。お産婆さんの免許も持って居ましたので、お医者さんでもご存じ無い細々とした事も教えて貰ってましたのよ。
30週までは体の全体像が作られるから、脳や呼吸器の細胞が作られるのは其れからですって教わってたのよ。
其れが28週でお腹が競り上がって来て、屈むのも苦しく成ったでしょう。おトイレだって手が廻らないから、後始末は彼にして貰ってたのよ。
「 嬉しいにしとこうじゃ無いか。変態と見られても構わないさ。レイ・ファン・カルロスのトイレは狭いから、開けっ放してしゃがみ込んでるのを見られたら――――」
「 其んなの言ってられないでしょう。つわりが軽く済んだ逆で。便秘の苦しいのを初めて知ったわ。」
彼が優しいんですのよ。
「 チョット指で探って好いかな。こりゃ出ない訳だぞ。岩の様に固まってるんだ。何時もの様にバスで掘るしか無いな。」
二人で泣き笑いなのよ。バスタブにお湯を張って、此れまでだったら抱いて崩して呉れたのに、お腹が胸迄競り上がってるでしょう。
背中の彼が笑い話をし乍ら、少しずつ食台と呉れるのよ。彼の手の中に小さく千切ったのが溜まるでしょう。其れをこっちのお手で受けてバスタブの里に見えない様に捨てるのよ。
とても変な感じなのよ。お股から突き出してる坊やが大人に成って行くんですもの。
二人は其れ処じゃ無いのよ。
「 行くぞ。お湯を一杯に流すからな。大丈夫だよ。タオルを何重にもしてーーー」
泣きながらしがみ付くのって忘れられないわ。もう10回の上は其うして貰ってるから、タオルに包んで外に捨てるんだけど、匂いは立ち込めるから申し訳ないのと嬉しいのがゴッチャに成って泣いて誤魔化すしか無いのよ。
「 ご免なさい。25週を過ぎるまでが危険だったから運動は控えてたでしょう。もう落ち着いたからね毎日時間を決めてモンジュイックのお散歩をしたいのよ。」
「 そうか、マリー君が来て呉れれば車椅子を持って来れるだろう。休み々々で散歩するのがムリしないで運動に繋がるだろう。」
「 いけないわ。あの人はお仕事をして貰うのよ。」
「 好いじゃないか、其れだって仕事の内さ。何もお産に協力して呉れ何て言えないだろう。なーに、彼女だって此れから経験する事だろうからな。」
お気持ちが、嫌って程判りますのよ。ホントはお二人でお仕事を探すのが、彼の為にもベストなんですのよ。
だってもう、6ヵ月に成るんですのよ。毎晩だったのがいきなりプッツンでしょう。
工夫し無ければって想い始めたのに、マリーさんが呼ばれて来たでしょう。諄い程ユダヤのお話を為さったのは、痛いほど判ってますのよ。
彼に出来る事とマリーさんのユダヤの知識を併せて何かを為さろうとしてるのがね。
だって90キロの28歳が復活したんですもの。毎晩の潰さなご報告はしませんけど、素敵なんてじゃ無かったんですもの。
6ヵ月何も無かったなんて、珠樹の我儘なんでしょう。其の解決にマリーさんが来たのはセックスとは無縁の何かを示してるに決まってますでしょう。ユダヤのお話を今日も為さったのは、ご計画の一端だ位はドジな珠樹にも判りますのよ。
お判りかしら、賢分を装うのでしたら黙って居るに限りますのよ。何れは子育てのモヤモヤが始まりますでしょう。夜のオツトメが更に手を抜く事に鳴るやも知れませんでしょう。ヒステリー女に成りたく無かったら彼にお仕事を見付けて貰うのが上策なんでしょうからね。