「 事のついでに、ユダヤに関しての考え方が俺と彼女では根本的に違うと思うんだ。」
「 もう好いわ。スペインに来たらユダヤのお人は見掛けないでしょう。ロンダにはユダヤ村が有ったけど、ひっそりとして人の息吹きを感じなかったでしょう。好きも嫌いも居ないんですから気にし無いで暮らしてれば好いでしょう。」
「 うーん、其れがヨーロッパでも国に拠って考えが違うのさ。戦前はヨーロッパでも寂れた国にはユダヤ人が集団で住んで居たんだ。国の名前を挙げるのはハバカルが、豊かだったドイツとフランスはユダヤ人を敬遠してたのさ。フランスでも日本と同じ様に、主婦が集まって井戸端会議と称して駄弁りの場を作っていたんだ。其処へユダヤの女が顔を出すと、サッと散らばって行っさ。男たちはニヤニヤ笑いながら其れに拍手して居たんだ。戦争が終わって荒廃したフランスの立て直しに、一時軍政に近い制度を取り入れたのさ。」
「 それでスペインのフランコと同じ事を遣ったのね。」
笑い飛ばされましたのよ。
「 意味は違うんだが、まあ独裁には変わり無かったのさ。
ドイツと敵対していた様に見えるが国民同士は対イギリスと対アメリカの古い歴史の中で、ドイツには親近感を持って居たのさ。フランスに行ってレストランでイングリッシュで注文しても、徹底的に恍けられるんだ。
メルシーの一言で、ガラッと態度が変わるのさ。此れはドイツよりも徹底して居るな。貴族同志は交流が有っても、国民の意識は別なのさ。ヒットラーのパリ破壊の命令に、占領軍の司令官が反抗したのは有名な話なんだ。独仏国境のトーチカラインも戦後直ぐに撤廃したのがパルチザンの親分のドゴールだったのさ。雑誌でホザイテやがるが、
ヒットラーの失敗はユダヤを壊滅させなかった事だ
と公言してるのさ。
一つには1兆ポンドの戦費の借款に、ユダヤにイスラエルの建国を約束したのが絡んでるのさ。ドイツの機動部隊に石油の生産地のアフリカと中東を抑えられたので、アラブ民族にもパレスチナの領有を認めたのが今でも紛争の原因に成ってるのさ。」
「 難しいのは辞めて欲しいのよ。マリーはユダヤを仕様し用としてるのでしょう。」
「 其れが違うのさ。ユダヤ商法を判り易く言うと、武器商人と同じ遣り方なのさ。Aには矛を売り、Bには盾を売る商法と同じなんだな。人間が生きて行くのに要らないダイヤを独占して、Aには1カラットのダイヤを売り、Bには其れよりもステータスが勝つ
2カラットのダイヤを売りつけるのさ。経済学部に入ったマリーには其れに染まりたく無かったのだろうな。だから、自由に使えるカードを手にするまでは、社会の底辺でジタバタしてたのさ。
試すと言ったら語弊が有るが、36に成って先が見えて初めて自由を手にしたのさ。アレだけの頭を持ってるのだからユダヤ商法を取り入れて居たら、今頃はセレブでのんびり出来ただろうな。
余丁なんて小物に利用されても我慢してたのは、今を待ってたと思えば好いのさ。
まあ病院に行こうじゃないか。」
何時もの様に交わされましたのよ。でも好いの。パパに成って呉れさえしたら、娘と二人で齧って差し上げますからね。