「 此んな素敵なお住まいを良く見付けたのね。でもレイ・ファン・カルロスはホテルなんでしょう。」
「 そうよ、ホテル住まいと言えば其れまでなのね。実はチャンとマンションを手に入れて有るのよ。」
其れで、ディアゴナル通りに出て直ぐの地下鉄3号線のパル・レイアル駅から乗って、30分のカサ・バトリョにご案内しましたのよ。
「 此れがマンションなの。ドウ見てもお化け屋敷にしか見えないでしょう。」
「 だから珠樹も住めないって言ったのよ。此の外装はヨットをモチーフにしてガウディが設計したのですって。
でも上手く出来てるのよ。元々は織物の工場だったらしいのね。ですから周りは商業地帯で静かでしょう。外観の奇抜さで観光客も近付かないし、泥棒さんも来ないから環境としては申し分ないのよ。其れにお産を予定してるエンサンチャ病院に歩いて行けるから、此処で子育てしても好いって思ってるのよ。
まだリフォームが終わって無いけど、中は素敵よ。」
「 ずいぶん古そうね。石造り見たいだけど、急にガラガラって倒れちゃうのじゃ無いの。」
「 其れが意外に頑丈なのよ。元は織機工場だったらしいのね。最上階を社長さんがお住まいに使ってたんですって。彼が声を掛けてたので、売りに出る前に手に入れたのね。
珠樹には知らん顔をしてるけど、やっぱり仕事が欲しい見たいなのよ。築200年の建物なんですって。床も壁も全部剥がして石が出てたのよ。天井は太い梁が組んで有るのを、其のままにしとく心算らしいのよ。
入って見ましょう。」
其れは其れは、素敵な眺めでしたのよ。遠く地中海も望めますのね。通りを隔てて商店街に成ってますのね。
「 目の下に見えるのが買い物通りに成ってるランプラス通りなのよ。高級商店とは違うけど、何となく馴染めるお店が多いのよ。彼も珠樹もディアゴナル通りの落ち着きが好きなのよ。ランブラス通りにはパルは少ないのね。其れに引き換えディアゴナル通りはお花畑の様ですから、パルが並んでて好みのお店に入れるでしょう。古くからの土地の料理が殆んどだから、パエリヤは置いて無い代わりにお鍋のお粥が美味しいのよ。日本と同じお豆の料理が多いでしょう。味付けもサッパリしてるから、彼だとお変わりする位なのよ。」
そうなのね。とても一週間では回り切れないと思ってたのに、ドウやら此のカサ・バトリョとレイ・ファン・カルロスを根城にして子育てをする心算に成ってる様なのね。子育ては知らないけど、気が置けない他人で居れば好いのでしょう。
バルセロナに馴染まなければと思ってたのから解放されそうなカサ・バトリョでしたのよ。
一緒に住まなくても好いってのも気が楽でしょう。オーストラリアが有れば、気楽に仲たがいも出来そうなんですのよ。喧嘩って意外に難しい終わりの締めが有るでしょう。其れが出来ごころの仲た
がいだったら、プイッとオーストラリアに逃げちゃえば好いんですのよ。
仲直りを考えながらの喧嘩よりも
アッサリぽんと仲たがいした方が後を引かなくて済むのですもの。どうやら目先は見えて来た感じだったのよ。