午後の日差しが残って居るモンジュイックの森を散策しましたのよ。
「 まだ目立たないから何週に成るの。」
「 良くご存じね。16週に入った所なのよ。嬉しいわ、女の方とお話しできたのは2年ぶりよ。ズート自由で幸せでしたけど、チョッピリ寂しさも有ったのよ。23年使ってた日本語からは離れられないのよ。」
「 マリーは逆よ。日本に呼ばれたのが4年前だったのよ。不思議だったのよ。軍に5年居たので南部訛りで男たちの話しに加わって居たでしょう。私のアメリカンってフロリダとは違うのよ。何方かと言うと養育院のヘンに気取ったアメリカンだったのよ。其れがハーバードに入ったら、キングスに囲まれてたでしょう。
カナダに近かったから、ケベックのフレンチと半々のイングリッシュだったのよ。
何年ぶりかしら。そうよ、13年ぶりにハーバードを思い出したわ。バルセロナに来て、ケベックのフレンチが使えるなんて。泣きたい位嬉しいのよ。」
大振袖のヘンな黒ん坊と手を組んでモンジュイックの森を歩きましたのよ。疲れなんて言いませんわ。結んだ手から熱い思いが伝わって来るのですもの。珠樹にもマリーにも、自由を感じる女が必要でしたのね。大男のガードが着いてね。
バルセロナ空港の査証に立ち会って下さったオージー大使館のお人が、護衛に着いて下さって居ましたのよ。流石にパルにはお入りに成りませんでしたが、お喋りが止まらないマリーと珠樹の後ろから彼と笑いながら着いて来て呉れましたのよ。
「 あんまり静か過ぎて拍子抜けでしょう。此のモンジュイックの森の外れから、ロープウエイでバルセロナの観光の顔とも言える港に出られるのよ。
ポルタル・デ・ラ・パウ広場に出るとコロンブスの塔が有るのよ。一度行ったけど、此処だけは観光のバルセロナとして警察の手も入って居ないから凄く危険なのよ。
見るのは明日にして、レイ・ファン・カルロスに行きましょう。」
流石にお疲れの様で、息が揚がってましたのよ。ウインクしたらすかさず彼に抱っこされましたの。解けた丸帯をオージー大使館のお人が抱えて、珠樹と並んでスペイン村から外に出てレイ・ファン・カルロスに向かいましたの。