何時もの窓際のお席では無かったんですのよ。カウンターにマリーを挟んで座りましたのよ。

ご主人の目が細く成って、綺麗なイングリッシュとベランメーのゴチャで口開けのウエルバ地方のシェリー酒が効いた卵スープに成りましたのよ。

   「 妊娠でしょう。お酒は――――」

   頂きましたのよ。一口だけですのね。

         残りは美味しいって、マリーさんが片付けて呉れましたのよ。彼が恨めしそうなお顔でしたのでマリーったら、ポーチドエッグの黄身を潰さないでスプーンで掬って彼のお口に運びましたの。

       

   マスターがウインクしてOKが出ましたのよ。

もう、功もお母さんもオーストラリアも出ませんのね。

         珠樹が選んだオレンジのサラダに話題が集まりましたのよ。マリーったらイングリッシュとスパニッシュとフランス語のチャンポンで、作り方を聴いてましたのよ。

    何しろ大振袖のニガーでしょう。私が此処のパルを真っ先に選びましたのは、フランコのアフリカの移民を制限する政策が徹底して居ましたのね。ですからマリーが日本人だってのを認めて貰う心算でしたのよ。

         其れがハイヒールのお振袖でしょう。背負った丸帯が光ってましたから、もう南部訛りを見せないキングスイングリッシュとジャパニーズのチャンポンでOKが出ましたのよ。


   「 流石だな。ハーバードは死んだものと思ってたが、ドウシテ立派に生きてるじゃ無いか。」

   笑ったお顔が幼さを残して親しみが持てましたのよ。

   「 だって芸者の女将さんから此処に居るのは聞いてましたのよ。少しはお勉強して来たのですもの。

   まさかお着物のお出迎えとは思いませんでしたのよ。喉に妊娠の兆候が出てましたのよ。任せて貰いましょう。代役が勤まるとは思いませんが―――」

   彼ったらマリーを抱き上げて、テーブルの周りでステップを踏みましたのよ。ハイヒールで其れに応えるマリーが、数人しか居ないお客様とパルのご主人夫妻の喝さいを浴びましたのよ。

         其れに応えて彼の首に長い腕を捲いて、チークに移っちゃいましたのよ。チャンと彼も請けましたのが自然に見えたんですもの。