「 じゃあ柳橋はドウなのよ。聖心から帰ると柳橋でお稽古してたのよ。花柳も表千家も珠樹が名取りに成ってるのよ。其れは今でも残ってるのでしょう。」
「 そうさ、夕方には俺が迎えに行った事も現実として有ったのさ。だからと言って其の全ては自由なんだぞ。
確かに柳橋も各種の名籍にも歴史は有るだろうさ。其れは歴史なんだぞ。ハッキリした物は有ると叫んで居るだけなんだ。各流儀も旗を揚げてるだけで、何の特権も無いのさ。有るのは勝っ手に作った決まりだけなんだ。箱物を作って本家を言うだけなのさ。
珠樹も名取り免状は貰ったが、其れなんか何の権利も無いのだぞ。権利を言うのなら本家が握って居るのだから、生殺与奪の全ては本家が自由に出来るのさ。
珠樹が要らないと言っても捨てるのには金と様々な面倒が要るから、捨てられない決まりに成ってるのさ。
まだ判らないか。宗教のお寺さんと同じなんだな。信長が高野山に手こずったと言われているが、徳川も天皇も其れに関係し無い様に見逃して居るだけなのさ。表立って逆らったら高野山の二の舞に成るだろう。仏教を担いで新しい流派が絶えず作られて居るな。其の全てが芸能流派の仕組みと同じで、関与すれば金を取られて洗脳されるだけなのさ。
歌舞伎だって同じなんだ。滅多やたらに××歌舞伎を名乗って芝居をしてるな。其の全てが自由だし、歌舞伎の本家で食ってる流派も幾つか有るな。
其んなのバルセロナに居れば関係は無いのさ。」
「 じゃあ柳橋は知らないって言えば好いのね。」
「 其の通りさ。女将も電話しても犬の遠吠えとしか無いのは知ってるのさ。
其んなのお掛け間違いでしょうと突っ撥ねられたら切るしか無いだろう。其れを承知で電話して来たのは、一種の脅しなのさ。
お前が言ってた俺の性的カタワを言ってるのかも知れないのさ。何とか絡んで来る筈だとな。」
「 判ったわ。其れでお怪我を理由に為さってるのね。何時も慎重な貴男が真に受けてるのが判らないのよ。幾ら柳橋で吠えても全部日本に置いて来たのですから、知らないって断れば好いでしょう。」
「 待てよ、俺が同性愛だってのを初めて聞かされたんだぞ。不能は認めても好いが、冗談じゃ無いぞ。ロリコンも聞き流せば好いが、男の子のケツの穴で遊んでたのは許せないな。
女将が発信源だとしても、何とでも吠えれば好いさ。現にお前とセックスして父親に成ったのだからな。
俺が許せないのは余丁の奴とヤッテ、俺が同性愛だって言ってるのだろうって事なのさ。此処に居るのを何処から知ったかなんだ。
確かに奴は変質者だな。10人の娘を傍に置いてるのは普通じゃ無いな。どれだけ性の強者かは知らないが、10人を満足させるのは俺には出来ないな。其処へ女将を呼び込んでヤッチャッタっのは理解の外の人間だな。
俺がまだ生きてるのを知ってるのは小田を覗いては其れほどは居ない筈なんだ。余丁の変態染みたしつこさだったら、俺とお前を追っかけてたのかも知れないだろう。今で言うストーカー野郎だな。
此れは聴き捨てに出来ないだろう。」
「 判ったわ。貴男の心配は同性愛でも男役だったって言われるのが怖いのね。確かに女役とは思えないわ。」
「 コラッ、何て言う事を云うんだ。同性愛者ってのはお前に聞いたから愕然としてるのだぞ。其れを体がデカイから男役だろうってのは許せないな。」
「 待ってよ、噂だって云っただけなのよ。
噂って有る意味では苛めと同じなのよ。其んなの相手にし無いか力でねじ伏せれば好いのよ。私が思ったのは功絡みだとしたら、10人と遣ってる挙句に黒人のマリーをドウ扱ってるのかを知りたいのよ。
黒人のセックスに興味が有るのは隠さないわ。不思議なのはマリーさんが凄く危険な
マネーロンダリンを引き受けてるって事なのよ。
功なんか元カレでも無いし、一時は貴男がセックスして呉れないからチョッカイを出したのよ。反省はしてるけど、私が開き直ってるのに手を出さなかったってのが癪なのよ。だからマリーさんの本音を聴けば、功の変質者が判ると思ったのよ。」
ヘンに筋違いなのは承知してますのよ。
でもあれ程お盛んだった彼が我慢してるってのが凄く拙いのよ。だっておしっこの匂いもスエタあの臭いなんですもの。体に良く無いのは判ってるけど、女を買って居らっしゃいとは言えないでしょう。だからニガーのマリーさんだったら彼の直撃にも耐えて呉れるんじゃって想ったのよ。お腹の子の為にもね。