「 済まない、場違いな話をしたのかな。」
「 いーえ、言って貰って貴男のお気持ちが痛いほど判るのよ。そうなのね。お腹に居る内は育ててる気はし無いのね。此れが生まれて来たら、私一人でドウコウ出来るのとは違うんですのね。
抱くのもあやすのも、ミルクを挙げるのもおしめを取り換えるのも全部貴男有っての毎日に成るんですのね。
其処まで考えなかったわ。言われ無ければ気が着かなかったのね。目玉焼きを焼いてる時に泣かれたらどっちを先にすれば好いのかしら。
エア抜きをし無いでミルクを一気に吐き出したら、10回我慢しても11回目も我慢出来るかって判らないんですもの。バンタビ貴男に援けて貰ったのでは母親失格でしょう。
そうなのね。貴男の娘だからとか、私がお腹の中で育てたのだからで毎日過ごせる物では無いのね。怖いわ。」
「 何時か言おうと思ってたんだ。二人で作った娘だからこそ、しっかり想いを決めとかないと拙いと思うのさ。
嫁に遣る、家で婿を迎えるなど様々が有ったとしても、果たして血が繋がって居るのだからで解決できない問題の方が多い筈なんだな。
其の点、男は薄情だからで冷静と理性と愛情をチャンと分けて出来るかと言われれば自信は無いな。ましてお前は泣いて済まされるケースだけとは限らないだろう。俺はドウしたら好いのか逃げられないだろう。其れを想うと、今から心の準備をお前に押し付けて好い物か迷ってたんだ。」
「 今は言って頂いて嬉しいとしか言えないのよ。何も考えて居なかったのね。そうなのね。私の娘、貴男の娘がアダに成る時も有るでしょうね。
ボンヤリとしか考えて居なかったのね。母が亡く成った時が其れだったのね。笑いはし無かったけど涙も出なかったのよ。
何て事だったのでしょう。二度と味わえない体験の中で、血の繋がりよりも大事な物が有るのを教えられてたのね。そうよ、母に換わって貴男が教えて呉れたのね。一瞬の積み重ねが何処まで続くのかは珠樹1人で耐えられないのね。貴男に二人分の重荷を背負わせることに成るかもね。」
繋いでた手が熱かった事。
判ってるよの想いを感じたんですもの。