28歳まで彼を逆走させて、珠樹の想う様にしちゃうって素敵でしょう。

          お隣の小母さまが、お墓参りが何時でも出来る様に、近くにお墓を作りましたの。

    と、冗談めかしで話して下さいましたのよ。

          其れこそ冗談じゃ無いわよ。お墓やお寺さんや三途の川なんか私の意識の中には無いんですのよ。小母さまの頭に三途の川が浮かんだのでしょうね。

    其れをご近所に触れて歩くのはお辞めなさいと言って挙げたかったのよ。


   「 そうか、俺は変わった様に感じないのだがな。」

   「 凄いなんてじゃ無いのよ。元々私のタイプだったけど、お父さんって感じだったのよ。あら、怒らないのね。」

   「 偶には本音も聞きたいのさ。何たって畠山弥太郎と畠山珠樹だろう。ヘンなんだな。娘の名前を決めとこうとするのに、ドウしても珠樹がくっ付いて来るのさ。男だったら二世だとかジュニアとするのも有るらしいが、俺は好きじゃ無いんだ。何も親の七光りを被せとく事は無いだろう。珠樹はお前独りにしときたいのさ。」

   「 共立ではカビが生えた珠樹は嫌でしたので、緑で通したのよ。

           岩崎みどりだと年増の歌手の様に聞こえるでしょう。聖心では珠樹で通したのよ。勝さんの留め名を使うのって貴男好みでスキじゃ無かったのよ。

    だって其うでしょう。貴男が着いて廻ってる様に感じてたんですもの。」


   「 今更換え様が無いだろう。芸者名は置屋が預かる決まりに成ってるのさ。そりゃ江戸時代からの花街だから、中には小万だとか万子なんて名前も預かってたのさ。

          好いんだよ、好きな名前にすることも出来るんだが、他の置屋で留め名に成ってたら買い取らなくては為らないのさ。勝が態々留め名にしたってのは、死んでからも自分の物にしときたいって姑息な思惑が見え隠れして居るだろう。

    勝って男は武士では無かったのだな。苗字帯刀も許され無い小吉って下働きの男だったのさ。其れがチャンバラの素質を見込まれて、勝の家の養子として海舟って名前に変えたのさ。元々は下司の男だから――――」

   「 ストップよ。其れを言ったら私だってしがない育ちの娘なのよ。」

   「 待て待て、其れは違うぞ。俺が育ちなんか言った事は無かっただろう。千住警察でお母上と対面した時に驚いたんだ。美しいのはお前にそっくりだったな。だが100%生き抜いた想いが全身に溢れてたんだ。両手首の包帯が全てを語って居たな。だから湯殿の飛ばしっこもお前の自然児其のままだったのさ。怒るなって言ってるだろう。」


    「 あら、怒ってなんか居ませんのよ。娘が遣りたいって言ったら遣らせて挙げる心算ですのよ。今でも貴男って素敵なんですもの。あの時は1メーターも飛ばなかったのに、珠樹と二人で合作したら今では唐紙だってぶち抜けるんじゃないかと思うんですもの。イヤだわ、おしっこなんですのよ。ストレートにぶち抜くのは珠樹1人にしといて下さいな。

          孫が生まれて育って貴男に似た男の子が生まれるまでは頑張る心算なんですのよ。貴男に負けない様にね。」

        あら、いけないかしら。私たち自由でオープンに暮らしてますのよ。ですから内緒にする事って夜の夜伽だけなんですのよ。おしっこの飛ばしっこはズート続けますのよ。オママゴトの続きとしてね。