エンサンチャ病院の産科に入院して4日目に入りましたの。お口の出血は治まりましたが、口全体の腫れが残って居ますし味が無い流動物しか受け付けませんでしょう。泣きそうな彼が傍に居て呉れますから、少しずつ胃に落とす感じで呑み込むんですのよ。

    「 何もして遣れないのが此んなに苦しいとはな。」

    「 何だかヘンなんですもの。嬉しいんだけど、

一緒なんだって感じるんですのよ。愛まで行かないと思いますのに――――」

    笑って下さったんですのよ。其れだけなんですのに泣いたら可笑しいでしょう。


    「 あっ、またキックなんですのよ。珠樹の計算では12週に入ってますから、そろそろ足の指が作られてると思いますのよ。ウッ、今日は元気な事、此処よソットなら触って居ても大丈夫なのよ。」

    「 ホントに好いのかな。まだ流産の―――」

   何日ぶりでしたでしょうか。彼の手を取っておへその上に置きましたの。震えてるんですもの。そっと手を重ねて

    「 ほら、動いてるのよ。体の向きが換えられる様に成ったのですのよ。貴男の娘なのよ。私も12週で運動を始めたって聞かされましたのよ。娘なんでしょうからほら、お父さんの手だって教えて挙げてよ。」

    ダメなんですのよ。90キロの28歳の男が手放しで泣き出したんですもの。もう何も言えませんでしたのよ。そっと両手で涙を拭って挙げましたの。其れしか出来ない入院4日目でしたの。