10人の仲間が根津に集まって来ました。

   「 本郷通から一本裏に入った袋小路ですから、此処に協会を作ったら足場も好いですし、邪魔が入らない格好の本部に成りますよ。」

   「 一度来て居るから話は纏まって居るのさ。我々全員車で来るから、此処に車庫を作れば仮泊も出来るだろう。取り敢えずはレースの組み立てから始め様じゃ無いか。」

   「 僕は其れには関係して居ないのです。僕が裏の仕組みを知らなくても確実に利益を上げて居るのを少し教えましょう。」

   其れで投資する遣り方の一部を教えたのさ。


   「 皆さんノミを遣って居て不思議に思いませんでしたか。障害レースを例に取りますと、殆んど4頭立てに成りますね。レースをして居るのは其の中の二頭に決まってますね。つまり走破タイムに制限が有りませんから、ゴールしさえすれば出走手当が確保できるのです。最初から決まって居る2頭立てのレースの配当が、殆んど3倍に成るってのは何なんでしょう。つまり敢えて障害を飛ぶのに並んだ馬に掛け声をかけるのです。タイミングを狂わせて落馬を呼べは、高配当が期待できるからですね。つまりレースを組み立てて居るから其れに期待した投票が3倍の倍率を作って居るのですね。」

   「 おう、其の通りだな。其の他にも失格を呼ぶ手は幾つも有るのさ。其れを見込むから決まりきったレースに投票するバカが居るのさ。」


   「 待って下さい。其のバカが僕なんです。府中や中山だけに網を張ってるのでは有りません。京都にも仲間が居ますから、敢えて外れる馬券にノミを入れるのです。ですから京都の場内の投票は動きませんね。レース終了5分前に、本命と目されて居る馬券に投票を入れるのです。

           仮に3倍の配当馬券に売り上げの半分を投票したらドウ成りますか。面白い仕組みで半分の1・5倍に落ちる筈ですね。其れがオッズが下がり始めると、一斉に儲けが見込まれ無い本命馬券には投票し無く成るのです。此れが博打の鉄則で、高額を見込める馬券に買いが集まるのです。確かに倍率は落ちますが、売り上げが多いレースでは落ちる率は少ないのです。

   ドウですか。此の手が使えるレースはかなり有るのです。博打心理と言いますか、此れが有りますから京都の仲間にはずれ馬券を注文して居るのです。」


   「 おいおい、ホントに其れが出来るのか。」

   「 ですから競馬は博打だと言ってるのです。皆さんの調査では、レースの結果は最初から判って居るでしょうね。敢えて外れる馬券に投票するのです。ノミ屋仲間に投資して、場内では本命馬券――――

つまりレースを組み立てた配当が落ちない様にお仲間に投資して、一方で正規に投票するのです。オッズの電光板で低額配当が更に落ちて行くと、バクチ心理として2倍近い馬券に手は出さないのです。

          此れは穴レースだと見込めば、本命を買わなく成るのが博打なんです。お判りでしょう。

          ノミの仲間もはずれ馬券でほくそ笑んで居ますし、競馬ファンは穴馬券に殺到しますから、意外に本命馬券は配当率が落ちないのです。

   此れは僕の仕事の一部ですが、元々競馬場に集まる投資家たちは、バクチ目当てに来て居るのです。先に言った障害レースは2頭で組まれて居るのは大方のお客が承知して居るのです。

          本来でしたら主催者も当選馬券を0・75倍には出来ませんね。最低で100円の元返しになる筈なんですね。其れに3倍近い配当が着くのを、お考えに成った事が有りますか。

    其れがバクチだと言う根拠なんです。競馬場に来る人は全員バクチを遣りに来て居るのです。

    僕のお客さんは其れを承知して居ても、自分からは手を出さないのです。飽くまでも馬券を買う代行業を看板に上げて居ますが、此れは間違いない仕事なんです。ただ博打に狂奔している人を横から眺めて居るだけなんです。」

    全員唖然として居ましたよ。