「 君たちは12歳の幼稚を装ってまんまと女衒をタブラカシタのだね。最初君たちに会った時、此んな子供をドウした物か迷ったのさ。伊勢湾台風で神田市場が潰れた時、迷よわずに根津中に駆け込んだでしょう。其処で目が覚めたのさ。多くの道の中から選び抜いた10人の知恵にね。」
「 そうよ、誰れ云うとも無く学校が浮かんだのですもの。歳から行ったら中学でしょう。功や楠さんに相談したら小学校からスタートするに決まってるでしょう。皆んなで話し合ったのよ。
中学が義務教育なんですから、色々難癖を付けても断れないでしょうってね。
色んな道が有る中で、一番近い根津中を選んだのよ。10人のおぼこを正面に立ててね。」
「 そうだったのだね。小学校にも行って無い12歳をバカにしてたんだ。確かに幼かったね。君たち女衒がドンナ奴なのかも知らなかったんだからね。」
「 そうよ、選べる道は幾つも無かったのよ。青森に居れば、後2・3年で三沢のアメちゃん相手に売春する様に成るでしょう。集団就職で愛知の機織りに行った子は、1人も帰って来なかったでしょう。噂では名古屋で売春してるって聞いてたんですもの。女衒が私たちを買いに来たのは、東京に行けば売れる娘だからに決まってるでしょう。其の三つの中から東京に行くのを選んだのよ。」
「 吉原に売られるのが怖く無かったのかい。」
「 あら、母親が売ったのですから誘拐されたのとは違ったのね。でも人身売買なんですから、どこかで逃げ出すチャンスは有ると思ってたのよ。女衒って言ったって一人でしょう。10人で手分けして列車を止める事も相談してたのよ。福島を通り過ぎればそれ程寒くは無いでしょう。騒ぎを起こして列車を停めちゃえば、バラバラに逃げる相談をしてたのよ。捕まったって女衒に引き渡される事は無いでしょう。青森に戻されたら今度は駅前で売春すれば好いんですもの。」
「 本気で考えてたのか。女衒の怖さを知らなかったのだね。」
「 あら、女衒は知らなくても吉原は知ってたのよ。政府公認だから入ったら人生の終わりなのは知ってたのよ。ですから逃げるチャンスは福島を過ぎてからと決めてたのよ。持ってる物は全部取り上げられたのを逆に使おうとしてたのよ。顔も汚して畑仕事をしてた様に装ってたのよ。東京に近付いては拙いけど、畑や田圃が見える処に来たら、列車にイタズラして止まったら逃げて農家に隠れる相談をしてたのよ。バカね、列車に乗れて嬉しくて騒いでる様に見せてたのよ。楠さんは計算外だったけど、女衒を油断させたのは私たちだったのよ。」
いや、お見事なんてじゃ無かったね。12歳も10人集まると楠さんより達者だったのさ。
「 じゃあ君たち、僕の言い成りに成ってたでしょう。楠さんと同じ3000円出せば遣らせて呉れたのかな。」
皆んなで顔を見合わせて笑いこけたんだ。
「 バッカじゃ無いのと言いたいのよ。楠さんに
は悪いけど、幼さで何処まで丸め込めるかだったのよ。楠さんのお財布を見たら分厚いお札が見えたのよ。東京の初音町に二階家を借りてるって言うから、其処まで行けたら其の先はオタンコナスに乗り還ればって想ってたのよ。悪いけど楠さんは女衒から逃げるのに都合が好いお調子者の小母さんだと決めてたのよ。」
「 其れで僕に乗り換えたんだな。」
「 バカねえ。其処まで言ったら実も蓋も無いでしょう。確かに青森には居ない精悍な男だったわ。草臥れてる楠さんとは違う世界の人に見えたのよ。
何か聴かれると思ってたのに、いきなり脱げでしょう。何も持って無いんですから、アソコで体を買われたらショウガ無いと覚悟したのよ。臭いお母さんのズロースの中身はお金に成るのは知ってたから、気前よく脱いじゃったのよ。
功の顔って無かったのよ。顔がくしゃくしゃに成ったから、此れなら行けるって思ったのよ。」
まんまと幼さな顔に騙されたんだよ。霞なんか其れこそ何も生えて無いスッピンだったでしょう。チョット見には6・7歳に見えたんだ。
ロリータに興味は無いけど―――
少しはスカートの中を覗きたい位は持ってても好いでしょう。1人が寝転んだら10人揃ってマグロに成っちゃったのさ。
其の気は無かったって言うけど、アイヌのミックスの12歳にスケべ心がソソワレルのは男の本心なんだよ。何とかし様をとっくに何処かに捨てちゃって、10人を抱えた男を頭の中に作っちゃったのさ。