木・金・土の三日間はトレセン通いが有るでしょう。其れだって夜中に起き出して朝の打ち合わせが終わればヒマに成る筈なんだ。

         其のヒマをどうしたのだ。

   イソイソと茗荷谷に帰るのさ。マリーと二人で暮らすのに作った家なんだよ。其処に10匹の雛が舞い込んでるのさ。ヘンチクリンも好いとこなんだ。何が素晴らしいって一等賞でも大菊花勲章でも、アカデミー賞でも無いのだよ。

         ティーンエイジの輝きには敵わないんだ。何て事は無いのさ。自然に茗荷谷に帰って仕舞うんだ。


   「 お帰り、電話が入ってたのよ。」

   「 そうか、何を言ってたんだ。」

もう、シッチャカメッチャカの騒ぎなんだ。

   「 言った通りでしょう。帰って来ると。」

   「 あら、マリーのお電話で釣ればって言ったのは私なのよ。」

   又々遣られちゃったのさ。其れが悔しくないからドウか成っちゃうのさ。

   「 お買い物よ。伊勢佐木町に行きたいのよ。中華街でお夕食って決めたのよ。」

          人の疲れを何と思ってるんだ。一日家で駄弁ってたのだろう。


   そうだね、散々上役に絞られてる君だったら其う言うでしょうね。残念ながらイソイソとスクールバスを引き出すのさ。心の中で戦いながらね。

          人を何だと思ってやがるんだ。召使いじゃ無いのだぞ

          此れが続けは天国だな。いや、ヘンだぞ。皆んなには焼きもちが無いのかな。布施の悲鳴が聞こえてる筈なのに。そうか、今夜は誰が来るのかな。


    「 しっかりしてよ。又道を間違えてるのよ。ダメね、誰れか換わって遣ってよ。此れでは伊勢佐木町に着くのは夜に成っちゃうでしょう。」

   云いたか無いけど、マリーの留守に10人の18歳に囲まれてご覧よ。親は28歳で毅然として居ようとしても、心はバラバラに成って18歳に戻ろうとしてるのだよ。

          そうさ、マリーが帰って来たら顔を洗って28歳で済まして居れば好いのでしょう。

    何も僕一人の世界だなんて言って無いよ。世界って何億人の世界は似た様な物なんだよ。

          別に狂っちゃ居ないさ。チャンとトレセンも勤めてるし、朝・昼・晩のご飯も食べてますよ。顔も洗ったし歯もちゃんと磨いたさ。鈴木と並んでだったけど、伊勢が後ろから擽るから

          こらっ、止めなさいとは建前で叱ったさ。其れだって心の中では明日も同じにして欲しいって戦ってるのさ。

    中年に成り掛かってるのを引き戻される3ヵ月だったよ。