馬場に10人のノミ仲間が待って居た。

昨日一緒にトレーニングを視て居た仲間が代表して話し掛けて来た。

   「 極く近いうちに欠員が出る様なんだ。我々のグループ10人が推薦してもと言う事に成って相談に来たのだ。」

   「 有り難いね。此の10人ならセキュリティーは保証済みだからな。何よりも裏事情に関係している会員を、今以上に増やしたく無いだろうからな。」

   小田さんが興味を示して乗り出しました。

   「 とすると、俺が入ってもと言う話なんだな。」


   百戦錬磨のノミ仲間も嫌な顔を見せました。

   「 お待ちなさい。僕に話しを持って来て呉れたのですよ。何度言ったら判るのですか。過ってのリーダーの頭は捨てなさいと言ったでしょう。冷静に成ってご自分を見詰め直すのですね。」

   ノミ仲間の男が僕を停めたんだ。

   「 時間が無い。此の話は食堂では出来ないのだ。トレーニングが始まるまでに聞いて置きたい事が有ったのだ。」

   「 判ってます。僕の仕事の振り込みと支払なんでしょう。」

   「 流石だな。其の通りなんだ。条件を言うぞ。

先ず此の男が信頼出来るかどうかなんだ。お前との付き合いは10年に成るな。その間我々10人との問題は無かったんだ。此れが重要なんだ。半年や1年だったら誤魔化せる物も有るな。10年ボロを出さ無いのこそ信頼に値するのだ。此れを言うのはどう考えてもお前の客との取引がスムーズに行われて来たのが理解できないのだ。恐らく何か別のルートを持って居るのだろう。話したくないのなら言わないでも好いぞ。」


   「 いや、好い機会ですから教えましょう。但し僕はオーストラリアに行きたいのです。此処に穴をあけると思いますが、其れをドノ程度埋めて貰えるのかに拠りますね。此の小田様の信頼は保障します。僕とは8年の付き合いに成りますが、不思議な縁で明治の学生与太の親分の瀬辺玄昭氏とも馴染みが有ったのです。瀬辺さんはご存じだとは思いますが、暴力団も右翼も、過っての内務官僚の荒くれたちも手が出せない存在なんです。

          仮りに、小田さんが僕を裏切る姿勢を見せたら即座に命で代償して貰うでしょう。瀬辺さんは其した人ですから、小田さんの信頼は命が掛かった物なのは承知して居るでしょう。

   欠員の補充を3ヵ月待って貰えませんか。其の3ヵ月で信頼に値するかを確かめ様じゃ有りませんか。」


   「 おう、妥当な話だな。そうか、会員に推薦はするぞ。3ヵ月見様と言う事だな。好いだろう。不遜な動きが有ったら欠員に成って貰うからな。トレーニングが始まるぞ。話は明日聴こうでは無いか。」

   馬場の照明に灯が入った。最初のサラブレットが走り出して来た。