「 珠樹の計算は確かなのよ。手を取り合って子宮に辿り着いたのは知ってますのよ。悪いけど感じは独り占めなんですのよ。」
「 別に悔しくは無いさ。君のお世話をしてもってなら、ご命令通りに何でも遣るぞ。足がむくむようなら温湿布も好いだろうし、揉むのも初めてじゃ無いんだからな。」
「 おや、何方のおみ足でしたのよ。珠樹に妬かせ様としても其の手は通じませんのよ。もう勝ち誇って居るのですもの。カサ・バトリョのお直しは三人を考えてなんか許しませんのよ。此れから7カ月の二人のハネムーンですもの。おトイレはおむつが換えられる様に大きく取って貰っても好いのよ。バスルームは着替え室なんか要らないでしょう。二人で飛ばしっこが出来る様に――――」
もう、彼の勇み足は停められませんでしたのよ。
「 ベッドは拙いだろう。中世そのままだと、何か有っても救急車に抱いて行くのは拙いだろう。取り換えても――――」
って、もう四隅の柱は外されてましたのよ。あの帳が卵チャンのデートの場でしたのよ。
「 好いわ、当分日帰りに成るでしょうからね。何と言ってもバスルームが先よ。まだ後ろに手は回りますけど、今つわりが最高潮なのよ。後四週か五週でウソの様に消える筈なのよ。そしたら後半戦に入るんですからね。」
もう、飛び跳ねてるのは彼なんですもの。
190の90キロでしょう。
「 止めてよ、下に響いたら苦情が出るでしょう。」
「 そうか、三人に成ったら両腕で抱える事に成るのだな。君は40キロも無いからそれ程でも無いが、娘はソット抱かねば成らないだろう。床が落ちたら拙いから、総入れ替えした方が好いな。」
云ったって訊かないんですもの。
産まれるまでは二人のカサ・バトリョにってお願いしてるのに、もう三人と決めてるんですもの。混乱は呼ばれるお前にも表れてますのよ。君が混ざりますでしょう。娘の名前どころか、芸者珠樹も改名させられるかもと思いますのよ。
「 ねえ。母子手帳にはTAMAKI・HATAKEYAMA
に成ってますのよ。もう逃げられないのですから、つわりが治まったら覚えて居らっしゃい。」
何を言っても上の空なんですもの。カサ・バトリョはリホームどころか大改装に成りましたのよ。カレンダーのお写真を見ましたら、全部美術館や博物館の近代建築ばかりなんですのよ。
「 此れで判るだろう。石と取っ組んでる建築会社とは違うのさ。鉄とコンクリートでビルを作ってるのだから、バスタブなんかフランスから取り寄せたって好いのさ。二人でも三人でも快適に暮らせる様に作れば好いんだろう。」
全部お任せとは行きませんのよ。明日は現場監督に成らなければとは想いましたのよ。