「 8週に入った所なのよ。1週を6日で計算するのは教えたでしょう。」

   「 其れは判ったよ。どうして7日の週を6日にコジツケルのかな。」

   「 珠樹もどっちでも好いと思うのよ。エライ大学の先生が、最後の生理の日から12日目に排卵が有るってお決めに為ったそうなのね。ですから6日計算をしてるのですけど、珠樹の様に28型でキッチリ決まってれば計算も好いとは思うのよ。

          エコーで胎児の育ちがハッキリすれば、受精の日を計算し直すらしいのね。其れだって十月十日で産まれるとは限らないでしょう。お医者さんのご意見なんですから参考にすれば好いのよ。

          赤ちゃんの性別も、検査で判るんですって。でも其れを教えるとご主人の都合で堕ろす人も出るから内緒にしとくんですって。

   もう二人で決めちゃったんですもの。娘だってね。」

   彼ったらホッとして笑ったのよ。


   「 次の検査は何時なんだい。」

   「 母子手帳に毎月の結果を書かなければ成らないのよ。エンサンチャ病院は予約制ですから、1か月前後って事なのね。ホントは赤ちゃんの都合が優先なんですから、病院の都合でってのが納得できないのよ。」

   「 おいおい、無茶を言うなよ。バルセロナでは一番設備が整ってる病院なんだぞ。予約が少しくらいズレても仕方が無いだろう。」

   「 其れが嫌なのよ。元々我儘な珠樹なんですもの。貴男だったら何とかして貰えると甘えてるのよ。」

   「 其れは嬉しい限りだな。つわりも厳しくない様だから、少しは我儘も言っても好いぞ。」

   「 妊娠すると女は我儘に成るのですって。好いのよ、我儘を言える男が傍に居て呉れるのですもの。」

   「 待て待て、風向きが俺に向かってるのだろう。其れだったらオールOKさ。此の前みたいに婦人科の女医だからって暴れては困るんだ。暴れるのなら俺を叩けば好いんだよ。」

   涙が出そうなのを笑って誤魔化すのも妊婦の我儘なんですのよ。

         何でもぶちまけるとか、我慢も限界までなんて言ってましたら、不安定な妊娠の心が屋上から飛び降りて楽に成ろうとする人も出ますでしょう。珠樹はぶつける旦那様に恵まれましたのよ。

         今はお腹の娘一筋ですのよ。後6週か7週頑張れば、もう大丈夫ですから二人で相談しますのよ。何をってまで言わせるのね。其れこそ今の精進にはアダに成りますのよ。お察しくださいな。