「 僕がおかしいのかな。

          頑張ったね

とか、

          苦しかっただろう。良く耐えたね

なんて言われると、

          コンチクショウ、俺が其んなに惨めに見えるのか。息を切らしてハーハー言ってれば、スポーツで精一杯頑張ったから、倒れ込んで援けられるのを待ってるとでも思うのかい。

          冗談じゃ無いぜ。此れで金を貰ってるプロなんだから、倒れるゼスチャーを見せて泣けば好いとでも言うのかな。

    真夏のカンカン照りの畑で、何時間も腰を屈めて手入れをしてるお百姓さんに、

          頑張ってますね。腰が痛いでしょう

と、声を掛けて見ろってんだ。無視されるくらいならマシな方だぞ。

    畑に入るんじゃない。此のくそったれ野郎が

怒鳴られてブランド物の靴の汚れを気にするのが大人だって言うのかな。」


   「 ドウして極端な事を云うのかしら。功の癖はお見通しよ。娘たちの苦労も努力も判らないで、手助けしようとするのが間違ってると言いたいのでしょう。

其れは思ってますのよ。でも、何と声を掛けたら好いのかしら。」

   「 其うなんだよ。僕は客観者が過ぎるのかな。外に居ればお金だけ出して、好き勝っ手を言ってれば其の日は暮れちゃうんだね。娘たちと一緒に居るマリーは其うも行かないでしょう。

          僕と居るのだったら、飲むか寝るかセックスすれば何も言わなくても一日は終わっちゃうね。

    僕の身近に居るのは先ずマリーでしょう。次に10人の娘たちなんだ。多摩川河岸でサラブレットと其の馬主の抜け目が無いのに囲まれて居たのからマリーに飛び付いちゃったでしょう。

    あの二年が僕の青春だったのさ。其れと比べたら10人の娘たちの18年は何だったのだろうと考えたのさ。」


   「 マリーにも言えるのね。功にバージン奪われてからの2年がマリーの全部を決めたのよ。」

   「 待ってよ、其処にジャンプするのは少し違うんじゃないかな。あの時26だったでしょう。其の前の

26年を空白には出来ないでしょう。僕も残る記憶は都合が好い様に細切れにしてるんだよ。マリーをオーストラリアに置いて逃げて来たのも少しは悪かったと思ってるのさ。謝るのが癪だから、

         一生面倒を見るで誤魔化してるでしょう。

   何だ、其の顔は。ヘイツクバッテ謝れとでも言うのかな。謝ろうがお金を払おうが、マリーの苦労は残ったままでしょう。

         飲むのは適当にしてるけど、ヤッパリセックスに成っちゃうでしょう。今も前も其れしか無かったのさ。

    遣ろうよ、其れが一番サッパリするんだよ。」

って、腕力でキスならぬ日本流の抱擁から始めちゃったのさ。マリーのキスに誘い込むのにね。