「 功は判ってる様で逆に性の意識が強過ぎるのよ。」

マリーに云われたんだ。からかい半分でね。

   「 あのお方が、肌襦袢を10枚も求めたのが判らないでしょう。女の腰に直接当たる物だから、女の体と性に関連付けて思ってるのでしょう。マリーは別の狙いを感じたのよ。肌着が10枚ってのは普通では無いお買い物なのね。つまり振袖も10回着せましょうって思惑なのよ。女の苛めも含んだ狙いなのね。

        マリーにお金を使っても、振袖を一回着てポイする様な贅沢は許さないって事なのよ。何回何時着れとは言って無いのね。マリーを特別扱いして晴着を一度着たら捨てるのなんか許さないって苛めなのよ。真正面から争えないから、73歳のテクニックを使ってるのよ

   言っちゃうけど、チョット色目を使ったら直ぐに乗って来た功のバカさ加減をアカラサマに言ってるのと同時に、私の体もおまんこも捨てた物では無いってマリーに云ってるのよ。怖い様なプロの手口なのよ。」

   「 其んななのかな。マリーの思い過ごしじゃ無いのかな。」


   「 まだ判らないのね。何で明治を持ち出したと思うのよ。

       此んな苦労をして来たって言ってるのじゃ無いのよ。昔も昔、大昔を持ち出したってのは

年寄だからって言うのじゃ無いのよ。歳の差で組み伏せようとするお年寄りのテクニックなのよ。若さと力では敵わないから年配者に一目置く社会の節度を使ってるのよ。

       若さではギブアップしたけど、目上の者を

       大事にする社会通念

を使ってるのよ。今の時代に日露戦争を持ち出しても聴かれないだけでは無くて、生きて来た世界が違うって言ってるのよ。マリーがハーバードを持ち出すのと同じ遣り方なのよ。

   少しはセックスを離れて考えたらドウなの。」


   参ったね。マリーがお説教染みた言い分を持ち出すのは初めてなんだ。だから黙って聞きなさいって事なんだよ。言って見れば、何の因果が有ったのかは別にして、

        マリーって女が居るのに、ヨボヨボのお婆さんに手を出すのって狂ってるって言ってるのだよ。僕だって思わないでも無かったのさ。遣っちゃってから狂ってたなとは感じてるよ。丁度自分の娘に手を出したのと似た想いなんだ。確かに昼寝してた親の手におっぱいを擦り付けて来た娘と遣っちゃったのと同じなんだ。

         アンネの日に燃える体を傍に居た男におっぱいを与えたって事なんだよ。此れが中学だったら担任の先生に遣ったかも知れないんだ。お腹が痛いって保健室で、若手の先生にバージンを呉れちゃうのも無意識のうちに有るだろうさ。決して少ないとは言わないよ。娘の悲劇かも知れないけど、

生理の前が危険だなんて誰れも教えて呉れないでしょう。昔は女が消えたお婆さんが教えたと思うんだ。其れが核家族が進んだ今は、誰れも知らないから教え様が無いんだよ。

   其れと似た様な条件で、女将さんがセックスを武器にしたとは思わないよ。男女共に性が燃えるのは死ぬまでなのは知ってるさ。僕は自然に同意したと思ってるのに、マリーは女の立場が先に成るから、僕とは違う解釈に成っちゃうんだね。まあ好いさ。肌襦袢を10枚買おうが20枚求め様が、お金で済む問題なんだ。子供を孕ませたのとは違う――――おっとっと、此れで終わり。脱線が過ぎるからね。