明け方の暗闇の中でニースをスタートしましたのよ。30分も走しら無いのに昼間の様に明るいモナコを通過しましたの。ドウやら独立国と言っても地中海の中に作られた島国の様でしたの。

   「 見るだけなら綺麗な国だろう。住むには向かない国なんだ。物価も桁違いなら水も電気も全部輸入に頼って居るのさ。マネーロンダリンに近い相場の変化を利用して利益を上げて居る国なのさ。何も無いと言って仕舞えば其れまでなんだが、同じ仕組みで封建国家を維持して来た王族も多かったのだな。スペインの様に土地が産む物と地中海貿易で豊かに成ったのとは違うのさ。スイスとは違う経済の仕組みを利用して居るのとチョット違うのだな。まあ見て置くだけにして置くのだな。」

    ドウでも好いと感じましたのよ。明るいと言ってもホンの数分で遠くに行っちゃいましたのよ。


   「 いよいよイタリアに入るのね。少し寝たい感じなんですのよ。」

   「 そうだな、次は何処に停まるのかは判らないんだ。1958年のイタリアは、やっと治安が落ち着いた処なんだ。ムッソリーニが荒れるに任せたので、国の行先も見えなかったのだな。トレヴィの泉でも気が付いたと思うんだが、観光客は老人だけだったろう。スペイン広場の階段もローマの休日に見られた賑わいは無かっただろう。共産政権が崩壊してまだ何年にも成って居ないのさ。観光収入が無ければ国が荒れても仕方が無かったのだな。」

   「 気が付きませんでしたのよ。ハスラー・ローマって元々は貴族様のお住まいでしたのね。今のオーナーはお医者さんなんですから、観光に利用仕様とはお考えに成ら無い見たいね。」

   「 そうなんだな。片手間と言ったら何だけど、聞いたら今でも空いてる見たいなんだ。地理的にはローマの中心とも言えるテルミニ駅に近いだろう。共和国広場を初めとして緑に恵まれた地域なんだ。出来たら奴の奥方に来て貰うのには足場が好いホテルなんだな。」

   其うお願い出来たらと思いましたのよ。


   取り敢えずは眠りたかったのでしたの。

   「 ローマに入るのにはまだ一日は掛かるだろうな。奴にも大車輪で働いて貰わなければに成るだろうから、暗い内に寝て置かねば―――」

   に成りましたのよ。珠樹は下段ベッドに寝せて頂いて、

   「 ドウからし、窮屈でしょうが貴男はエキストラベッドで我慢して下さいな。」

   「 おう、其の方が安心だな。奴には上段を明け渡すと仕様じゃ無いか。アルプスエキスプレスとして有るのだから、海岸線を走るとしても恐らく観光列車の趣に成る筈なんだ。ローマまでは一日行程では難しい筈なんだ。食い物だけでは無いぞ。洗面設備も今のままでは観光とは言えないだろう。途中の停車駅で何とかするにしても、今の内に寝て何とか持たせるしか無いな。」

   でしたのよ。


   何時間寝たでしょうか。目が覚めたらエキスプレスは停まって居ましたの。

   「 どうやらジェノバの様だな。機関車を外したから此処からは電氣に成るだろうな。だとすると観光列車も本物にするだろうから、地中海沿いの本線を使うのに5両編成では拙いだろう。」

   其の通りでしたのよ。車掌さんが検察に回って来られてヤー様と相談して居ましたの。

   「 乗り換えだ。いや、列車を変えるのでは無いぞ。食堂車と一級上の客車を繋ぐそうなんだ。割り増しを払えばドレッサー着きのコンパートが有るそうなんだ。」

  接続を待って乗り換えましたのよ。


   「 大したもんだろう。イタリヤも復活したのだな。観光列車を本気で仕立てる心算らしいな。ドウだ、各コンパートメントには洗面所が着くらしいんだ。」

   此んなに違うんかと驚きましたのよ。何日ぶりでしょうか。チャンとロックされますから、肌脱ぎに成って汗を拭きましたの。彼ったらパンツ一枚でお顔を洗うんですもの。

   「 好いだろう。お前が見てるだけなんだ。裸に成ると言っても此れだけなら―――」

   其れは素敵でしたのよ。特級の彫刻を見てる様でしたの。執事さんにもって交代しましたの。彼ったら、

   「 チャンと着替えるのだぞ。俺の下着で悪いが全部珠樹が揃えて呉れたおニューなんだ。知らない中でも有るまいから。」

   何ですのよ。お役に立てるのって嬉しいのと恥ずかしいのが半々でしたの。マダマダ彼の家内には程遠い芸者珠樹でしたのよ。