微かに蒸気機関車のあの匂いが入って来ますのよ。列車に乗ってるって実感がしますのね。傍に彼が居て呉れるでしょう。何時も一緒なのに、初めてのフランスに入るってのに何となく不安を覚えて居ましたのね。其れが聴き慣れたいびきでしょう。彼の存在をこれ程感じたのって8年で初めてでしたのよ。

   其の安心が、コトンコトンってリズムに成って来ますのよ。

       彼も聞いて手拍子を取って居たのが夢に

       誘われましたの。気が付いたら狭い床に

       彼と重なって寝て居ましたのよ。ジッと耐

       えて居る彼のお腹に珠樹の汗が流れて

       居ましたの


   「 大丈夫だよ、お休み―――」

と、聞こえたのは夢でしたでしょうか。夫婦でも無い、友達でも無いし男でも女でも無いって感じでしたのよ。

       手を繋ぐでも無いし、ソット触れ合って居

       る温かさを感じましたの。17歳と25歳と

       28歳が、ふわふわ夢の中で揺れて居た

       アルプスエキスプレスでしたのよ

何時間寝て居たでしょうか。片手で珠樹の腰を支えて左手を痺れたのでしょう。ヒラヒラ結んで開いてをしてるので目が覚めましたの。珠樹のよだれが頬を流れて居ましたのよ。引きつった顔で笑ったら笑みが帰って来ましたの。少年の恥じらいの笑みでしたのよ。

   「 好いよ、此のままで明るく成るのを待ちたいんだ。」

   同じでしたのよ。此れまでだって珠樹が上に成った事は有りましたのよ。其れって第二ラウンドで柔らかく成ったカメさんを扉を開いて受け入れるのに繋がったのですもの。其れが無くてもお腹の真ん中から燃えて来るのを感じましたの。

    「 俺も同じなんだ。此のままで居て欲しいんだ。」

   でしたのよ。トーンが揚がった小さいお声なんですもの。接吻なんて欲しく無い不思議な感じでしたの。静かに太腿を支えるお手が熱いことったら、知らなかった抱擁と言うよりも、ファックを求めない快感に身をヨジル思いでしたのよ。17歳の柳橋のお玄関のズット前の少女に戻って少年に支えられて居る感じでしたのよ。将に夢の中で戯れて居ましたのね。此れこそフィクションの世界を泳いで居ましたのよ。