「 じゃあ、どんな貨物船が欲しいんだ。」
皆んな俯いてショボクレてたのさ。仕方が無いって調子でボースンに話し掛けたんだ。
「 決まってるでしょう。商売に向く船を探すしか無いでしょう。商売って言うのは僕はノミ屋なんですよ。此れが商売ですから好きも嫌いも言ってられません。だけど好みを捨てたのでは無いのです。サラブレットを商売として見れば、気性も癖も能力も見ますよ。其の中でも好きな馬は居ますね。其れとお金を分けて馬を見るから正しくレースを組み立てられるのです。競馬って人間が作った化け物サラブレットを走らせる博打なんですよ。中には八百長も有るって言いますが、競馬って全部作るのですよ。博打ですから全部造られたレースなんです。馬事競技とは違います。皆様も船乗りとして生きるのと、商売として貨物船を探すのは別なんですよ。ナマを言いますが、商売人としては僕はプロなんです。サラブレットのプロなんです。皆様は船のプロなんでしょう。だったらドックに入ってる貨物船を見抜くくらいた易いでしょう。ドックがドンナ経済状態かを見抜くのも仕事の内でしょう。」
言っちゃったよ。
アホらしくてヨッポド手を引こうと思ったのさ。マリーがしょぼくれてるのを見たらセミプロの
10人に手を貸す気に成ったのさ。ドックの現場を見なければ何とも言えないけど、チャンとしたドックか、潰れかけてるかを見抜くのなんかガキでも遣ってる事なんだよ。イヤに成っちゃうけど、乗り掛かった舟なんだ。降りる訳には行かなく成ったのさ。
「 貨物船を探さなければ話には成りませんね。オーストラリアに的を絞りましたが、其れの他には時差をサラブレットは強く感じますから、持って来ても使い物には成らないのです。貨物船が見付からなければ全てゼロに成ります。見つかったら手に入れるのはマリーの仕事なんです。マリーは進駐軍特権で接収るのですから、ビタ一文も払いません。文句を抑えるのは皆様の仕事なんですが、此のお金を使っても構いません。東京湾に持って来るのも仕事の内ですから、本物のプロだったらヤルしか無いのですよ。」
ホントにヤになっちゃうね。車を転がすのとは訳が違うんだ。其れ位は僕にも判るさ。何と受け取ったか知らないが、
お金を使えってのは仮にエンジンが着いて無かったら新しく乗せるしか無いでしょう。東京湾まで持って来るのは一日で出来るとしても、諸々の面倒を見とかなくては成らないんさ。船は判らないけど、其れ位は常識でしょう。もう厭に成ったからマリーを連れ出したのさ。