まだ暗いって言うのに起こされたのさ。
「 ドウしました。皆さんお揃いで何が有ったのですか。」
「 済まん、興奮で眠れなかったんだ。船員手帳が手に入るのなら、寝てなんか居られないとな。少しは治まって来たがすまんな、子供と同じなんだ。」
「 判ります。僕も来て見て皆様の熱気を此の指令室の変わり様で感じて居たのです。あの日捕まって此処に来た時は、余りのガランドウで驚いたのです。此れじゃあチョットしたホテルでしょう。どうやら草っ原には手を入れて無い様ですので、マリーに感謝して作ったのを感じました。」
「 そうなんだ。来て3年に成るな。フィリッピンの港で船員が起こした殺しの責任を取らされて此処に送り込まれたのさ。マリーが居なかったら刑務所並みに使われたと思うのさ。MPが持って来た書類を奴の目の前で燃やしたろう。
連れて帰らないのなら囚人扱いはお断
りの意思表示だったな。ニガーの女だと
思って居た我々を変えたのさ
特任大佐にも驚いたが、ハーバードの出を言われて納得したんだ。女だとだけ思って居たのに荷の抜き取りにも知らん顔だろう。礼と言っては何だが、俺たちで出来る事は此れ位なんだ。」
「 マリーも判って居るのです。話し合いましたが日本に馴染むのは今は難しいのです。南部の事情は知りませんが、除隊しても好い扱いは受けられない様なんです。オリンピックで日本も変わると思いますので、其れからでしたら来て貰ってもと思って居ます。」
「 そうなんだな。お前と出来てから人が変わったよにう明るく成ったな。ガキだと思って居たのに―――すまん、言って仕舞ったがドウやらお前のスケールは我々とは違う様だな。」
「 其んなじゃ無いのです。小学校にも行って無かった僕に本を読むのを教えて呉れたマリーは先生なんです。ですから今までの商売を延長して何かが出来ないかを考えたのです。サラブレットの輸入から始まれば、時差の無いオーストラリアしか考えられません。走り出したら止まらない性格なんです。オーストラリアが頭の中で渦巻いて居ますので、貨物船の輸送なら皆様が適任だって考えただけなんです。まあ、子供の夢ですね。マリーと暮らして居ると頭が日本から飛び出しちゃうから不思議なんです。」
起きて来たマリーを入れて、朝飯が始まったのさ。