「 僕も知らなかったんだ。学校に行って無いでしょう。知識って言ったらマリーに本を読むのを教えられて、何とか字だけは覚えたんだ。」
「 そうだったのね。ローマ字を教えようとしたのに日本語に変換するのが出来なかったでしょう。仕方が無いからマリーが日本語を覚えて教えるしか無かったのね。」
「 アレが無かったら何時までも子供だったのさ。歳だってアヤフヤなんだ。マリーがいろいろ調べて16にして呉れたでしょう。」
「 そうだったのね。歳なんかドウでも良かったのに、リーダー格のボースンとウマが遭ったでしょう。荷物の抜き取りを笑って、タバコをコンテナごと功のノミの質屋さんに捌くのを教えたでしょう。其れまで細々と抜き取ってた日用品を止めて、タバコと白砂糖に絞ったのね。鶴見の和菓子屋さんに卸したら
幾らでも引き取るからってマリーの
名前でオーダーしたら
お砂糖の山が届いたのね。白砂糖が無いっての初めて知ったのよ。」
「 そうだったね。川崎には銀行が無かったのさ。作っても質屋連合が土地の資金繰りを一手に纏めてるでしょう。ノミ屋で知ったんだけど、川崎の金融業者が質屋だったのさ。何しろアメリカの物で一番売れたのがタバコだったんだ。其れを捌くルートを教えたから僕も加われって言われたのさ。だけどマリーとセックスを知って、明けても暮れても遣り捲ってた時だったでしょう。ノミは一休みしてたけど、リンゴ箱に万札を詰めてたのがマリーと遊ぶのに使ったんだ。ボースンの仕事は別ルートでね。」
「 何とも知らない世界だったのよ。セックスもだけど功が有んなにお金を持ってるのって不思議だったのよ。
マリーの知らない世界と男が居るなん
て、もう夢中だったの
あの日も追い出そうとしたのに、取っ組み合いでしょう。子供だと思ってたのに胸の筋肉に驚いてる内にドウにかしちゃったのね。」
「 言葉が判ったんで殺されないのが取っ掛かりだったのさ。ボースンがにやにや笑ってたんでマリーを裸にしちゃったでしょう。朝のおしっこの時と違って何だかおへそを叩いてるのを納めようとしたらボースンが出てっちゃったでしょう。
マリーがいけないんだ。抱き付いて来
たから自然に合っちゃったでしょう。
夢の中で出しちゃうのともっと好い気持
ちで行っちゃったんだ
凄く熱くて止まらなく成ったっけ。」
「 そうだったのよ。思い出しても何も覚えて居ないのよ。芝浦キャンプを預かって居るのに、男を想ったらダメと決めてたのよ。有んなに凄いとは知らなかったの。お腹の中を串刺しにされた感じだったのよ。痛いも何も無かったのね。出てって欲しいんだけど動きが取れなかったのよ。」
「 もう好いでしょう。ずい分謝ったんだから。ボースンに聞いたらアメリカ軍が借り上げた貨物船の船長だって教えられたんだ。マリーはホントだったらホワイトハウスに入るんだけど、ニガーだから日本に追い遣られたって聞いたら猛烈に腹が立ったのさ。
だったらコマイ抜き取りなんか辞めて
商売に仕様って成ったんだ
僕は知らないよ。ルートを教えただけでボースンが勝手に始めちゃったんだ。」
「 そうだったのね。死んだような芝浦に活気が戻ったからもう、居ても居なくても好いって成ったのね。功って天才なのね。漢字を覚えるのは早かったのよ。地理も数学も教えるより遊ぶのが先だったでしょう。26年で初めて知った男だったのよ。」
まあ、凄いなんてじゃ無かったんだ。おいおいバラスけど、川崎競馬の手蔓でオーストラリアからサラブレットの輸入にこぎ着けたのさ。マリーの進駐軍特権を使ってね。そうそう、青森に飛んでった話だったね。マリーが居なく成ったらあんなに落ち込むとは思わなかったのさ。
もう、ドウにでもなれで筑波山から東北にトンデッちゃったんだ。少しずつ話すよ。まあ、10人の娘たちを背負い込む結果には成ったけどね。