「 マリーのハーバードって、学問の大学でしたのよ。開けても暮れてもパーティーなんですのよ。勿論招待もされませんし、図書館に通う毎日でしたの。なんてアホだったのでしょう。社会の縮図なんて考えもしませんでしたのよ。」
「 判るよ、言いたい事って東大も同じだってなんでしょう。確かにハーバードの縮図に近いとは思うよ。マリーが持って来たGHQが指図した大学入試のインテリジェンステストを見て、東大もハーバードも優れた学生を受け入れるとは思えなかったんだ。
インテリジェントテストって、バツ・チョン式のゲームなんだね。有んなの知能とは関係ないね。其れが選抜の基準に成るとしたら、大学ってゲームが得意な教授の集まった組織に過ぎないのだね。僕には娘たちがドンナ大学を選ぼうとも、むしろ将来に害に成るのではって想うのさ。」
「 笑っちゃいけないのね。其れって一面の真理なんだけど、娘の18歳って危険な年齢なのよ。マリーは其の歳を図書館通いで終わったけど、知らないばかりに其れからの10年を無駄にしたのよ。8年って言い直すわ。思いがけない功に会って、社会のホントと女を教えられたのね。ホントは其処で悟らねば成らなかったのに、
まだハーバードが生きてるから、何とか
成るのではって焦ったのね
ホントは功を知って、しがみ付いて居れば良かったのね。くだらないプライドで8年を棒に振ったのよ。
あの子たちは驚くほど冷静なのね。功もチャンと知って居るし、放さないで置こうとしてるのよ。
其うなのよ。柳橋の女将さんを功が
連れて来たのもチャンと利用仕様と
してるのね。十文字の卒業式で時間を
稼いで、大学を先送りする手口を
和服って社会の仕来りの中から、大学でバラバラに成るのを先送りしてるのね。」
「 確かに狙いは其処だったのさ。社会勉強に成るのならって5人の元芸者さんを呼び込んだのさ。僕の芸者さんって珠樹の事だったんだ。あの人たちはテイの好い売春婦だったんだ。今更後戻り出来ないでしょう。仕方が無いから女将さんに来て貰ったんだ。あの人70を超してるんだよ。思いがけない女を溜め込んでたんだね。百万人に1人の奇跡かも知れないけど、処置に迷ってた楠さんと組ませたらって想ったんだ。」
「 そうだったのね。楠さんって意外に若いのよ。あの子たちと暮らして居れば、其れが納得できるのよ。皆んなと横並びで昔を捨てたでしょう。ズット相談されてたんだけど、根津にしがみ付くのに決めてたのね。
昔を捨てたと言っても娘たちとは売春が
違ってたのね。あの子たちは男のおチン
チンを操る事しかし無かったのに、楠さん
はセックスしちゃってたのね。バイバイ
出来たのは根津と10人が居たからなの
よ。自分でも知ってますのよ
10人が居なく成っても根津を生かして男の臭いを呼び込むってね。あの人のシブトサだったら何とかするとは思うのよ。」
「 そうか、女将さんとは別に考えなさいって事なんだね。」
「 そうなのよ。楠さんは放って置いてもドウって事は無い筈なのよ。金沢で気が着いたんだけど、
あの人の芸者って宛がい扶持だったの
ね。ご自分で高級品が選べるってのが
生き甲斐に通じた見たいなのよ。十文字の卒業式は一つのテストケースだけど、
末は柳橋に戻すってのも
考えても好いんじゃ無いかしら。」
ハーバートに別れを告げて、正気を取り戻したマリーはヤッパリ大物だった。