私って時間に追われる女なんですのよ。

追われるって、逃げてるのでは有りませんのよ。何でしょう。物心が着いた時から、

       目の前に差し出されたミルクは飲む物だ

       と決めましたのよ。いーえ、さっきの

       ミルクは熱いので哺乳瓶に触って飲める

       かどうかを覚えましたのよ

何も偉くもお利口でも無いのですのね。

       ミルクは飲みたいのですが、飲むのに

       遣らなければ成らないのは哺乳瓶を

       握る事なんですのね

見てますと、赤ちゃんは押しなべて哺乳瓶を握ってから飲みますのね。早い子は1秒で飲み始めますのよ。遅い子って哺乳瓶をしっかり握り締めるのに時間を掛けますのね。私の記憶では

       パッと哺乳瓶を握ると同時に飲んで居た

       様でしたのね。熱ければ飲みません

       でしたのよ


   此んな愚にも着かないお話をしましたのは、

何時の間にかお脳の中に止めて置く時間が短く成って来ましたのよ。

       鈍いとか早いとかでは無いのですのね。

       頭の中で整理するより次に進むのが

手っ取り早いと成っちゃうのですのね。暑いも寒いも悲しいも楽しいも、人並みには頭が請けますけど、

       何て事は無いのですのね。お脳に止めて

       置くのには、どうやらキャパシティーが

       不足して居る様なんですのね

次に出て来る物を受け止めなければって、時間をソッチに回して仕舞いますのね。


    言って見れば入って来たものを整理し無いで、ゴチャ混ぜに積んで置くのですのね。ですから

       悲しいも楽しいも、憎らしいも愛らしい

       のも全部一瞬で倉庫に放り込んで

       仕舞いますのよ

此れって日が暮れて、暗闇に成った貨車の中で何時間もグルグル廻りしたのに、段々慣らされて此うなりましたのよ。


    今日のお仕事の全部が蘇って来ますでしょう。上手く行った時の母の目配せが頭に蘇って来ますのね。

        想うも何も、母と反対方向に逃げねば

        成りませんでしょう。其れこそ

        ケースバイケースで

ポリが居ましたら、通りがかりの小母さまと無駄話を交わしながら改札を出ましたのよ。

    其んな此んなで、一日を振り返るのも大変でしたのよ。ですから無駄に思える事はさっさと屑箱に放り込む癖が着きましたの。

        想えるって瞬間なんですのよ。判断を

        思い巡らせて居るのがバカバカしく

        成って来たのですのよ

17年の大半を、此れで生きて来たのですもの。


    癖と申しますよりは、お脳の仕組みを珠樹の生き方に併せて生きて来ましたのよ。当然と申しましょうか

        捨てた想いももう一度引っ張り出したい

        時も有りますのよ。何処に終ったのか

        判りませんので、其のままにして置く事

        が多かったのですのね

十何年も繰り返して来ますと、思い出を呼び戻すのよりも時間の無駄が優先される様に成りましたのよ。ですから頭を使うのよりも、時間に追われる様に感じてサッサと捨てるのを覚えましたのよ。

        今は珠樹の記憶って時間なんですのよ

ひっくり返して居るのが時間の無駄遣いに感じるのですもの。