「 焦らなくても好いからなのかな。仕事が楽しく成って来たんだ。」

    「 貴男って組み立てるのがお上手なのよ。不思議なんですけど、設計図が頭の中に有る見たいなのね。珠樹だったらコンガラカッテ狂っちゃうと思うのよ。」

    「 煽てるなよ。元々図に乗る質なんだ。如何しても終わりまで遣らなければと想い込んで居たのさ。

今は自分で定時を決めてサッサと引き上げるのが楽しいのさ。お前と一緒だとパルの梯子を思い出すだろう。呑み過ぎたら休めばいいのだから、何とも贅沢な仕事だと思うのさ。」


    珠樹もホッとしてますのよ。忘れて居たパルが懐かしいのですもの。此の何とも言えない柔らかな雰囲気が珠樹の症に会ってますのね。お店に拠ってはお料理が違うでしょう。

    「 嬉しいのって生ものが無いのですもの。お刺身も好きですけど、一度マグロの血合いに虫が着いて居ましたのよ。魚屋さんに聞きましたら、お肉にも血合いには虫が着いて居るのですって。パルのお料理は全部火を通して有るでしょう。お野菜もお店でお味が違うのが楽しいのですのよ。」

    「 そうなんだな。日本人の胃袋って火を通した野菜の方が受け付けやすい様に出来て居るのだそうだ。今はやたらにサラダが多いだろう。味をマヨネーズやら何だやらで作るのって気に食わないのさ。おふくろの味を求めるのでは無いがパルの味付けが俺には向いて居る様に感じるのさ。」

    なんですから、食べ過ぎたのを夜のお勤めで油を抜きますのよ。


    お仕事に比例して激しいのって堪りませんのよ。馴染みのパルからワインとお摘まみを持って帰るでしょう。冷蔵庫には氷が出来て居ますからボトルを冷やして彼をお迎えしますのよ。

        癖に成って居ますので、1時間でワイン

        の口移しが来るでしょう。時によっては

        1本で足りませんので、冷蔵庫荒らしが   

        始まる時は延長戦を覚悟しますのよ

あら、

    「 お前が望むからつい、―――」

其んな時も有りますけど、相性はワインの性にして置きましょう。自由が本物に成りましたのよ。お昼まで寝て居る時も有りますし、お電話で呼び出されましても

    「 今日は休むぞ。適当を挟まないと長続きしないぞ。」

    と、モンジュイックの森が恋しく成りますのよ。

ヘンなんですのよ。見向きもし無かったカタルーニャ美術館が懐かしく感じますのよ。お庭に作られて居るパルに寄るでしょう。カタルーニャ地方の子羊の牧舎風の焼き物の美味しい事ったら、デザートの里芋の甘煮にはびっくりなんですのよ。違いましたの、洋ナシのミルク煮なんですのね。サトイモ料理と思いましたのに、

        正しくはレリダの洋ナシのミルク煮

なんですのね。カタルーニャ地方の田舎煮と聞きましたら、明くる日にはアルファ・ロメオを飛ばしてジロナに行きましたのよ。あら、ガイドさんはすっ恍けてですのよ。

        ご自由にお働きあそばせ

ですのよ。