芸者珠樹、完全復活なんですのよ。男に喜びを与えるのが芸者のお仕事なんですのね。柳橋ではお母さんは、お着物のお召方から始まって、立居振舞の基本を叩き込まれましたのよ。

       お襖を片膝立てで閉じるのを厳しく教え

       られましたのよ

五人のお姉さん方には、足で閉めて万歳を呼びましたの。だって、お育ちの程は見えて居たのですもの。

17歳の鶴が突然本性を現して見せれば、喝采なんか呼びませんのよ。一緒に成って置屋を踊り狂いましたのよ。


    あら、ご免なさい。珠樹の本性ってお母さんと働く事でしたのよ。其れは其れは

        楽しくて厳しいおシクセの毎日でしたのよ

北千住の空き貨車の中で、お母様が求めて居らしたお弁当をビールの空き箱に座って食べましたのよ。

        お箸の持ち方なんて初歩も初歩、女と

        しては当然の美しい所作から始まり

        ましたのよ。お母さんの美しい事ったら

        タダ必死に後追いしましたのよ。

              スッピンが一番男が震えつきた

        い10歳の柔肌も教えられましたのよ。

        ロリータ好みは男が隠して居る本性

        なのもよね

珠樹は早熟でしたのに、母さんのおっぱいと並べて教えられましたの。

        しっかり握り締めて御覧なさい。硬さが

        まるで違うでしょう。悔しいけど貴女のは

        コリコリして産毛が光を際立たせて居る

        のよ。男の目は上からなんですから、

        貴女の産毛が武器に成るのよ

なんてのも叩き込まれましたのよ。


   お母さんがお出掛けすると―――あら、置屋のお母さんですのよ。五人の姉さん方には珠樹の割烹着の合わせをずらして、バストの産毛で撃ち落しましたのよ。皆さん50に手が届くお歳でしたので、西陣の硬い帯を解くのから教えて頂きましたのよ。

        あら、帯の結び方ですって?其んなの

        お母さんに教わりましたのよ。帯を解くの

        に焦れて、和箪笥から三越の外商さん

        がお持ちの特選の帯を、お姉さん方にも

        締めて頂きましたのよ

其れが有りましたので寄合席でも評判に成りましたのよ。お育ちも芸者が長いと隠れて仕舞いますのね。柳橋のお勤めはバレて居ますでしょう。其れが200万の上はする西陣で

        シャナリシャナリが続けば、黙って居ても

        柳橋とスポンサーは知れ渡りますのよ

あら、御着物なんて着くずれし無ければ目立ちませんのよ。芸者がなんで10本ものお紐で固めて居るとお思いなんですのよ。一つには抜いた襟足が際立つのが崩れない様にして居ますのよ。おトイレだってお腰を捲ればどこも汚さずに出来ますのよ。お紐でガッチリ固めて有れば、裾の乱れなんか気にしなくても済まして居られるでしょう。


    偶にはお母さんを巻き込んでの七人の大騒ぎも有りましたのよ。芸者を何とお思いかは存じませんが、人間ですもの。緊張の裏返しを珠樹が作ってもソツが無くお勤めが出来れば好いのでしょう。工夫は和装でも洋装でも似た処は有りますのよ。ガイドの奥様は見事なブロンドなんですもの。お二人の殿方がお留守に成ればノリアではスペイン語のガイドを求めてお喋りの時間に成りますでしょう。確かにDカップの素晴らしさですけど、珠樹のノーブラの第二ボタンまで外した隙間から裾野までの盛り上がりをお見せすれば、ブラが飛んでも不思議はないでしょう。

       

       あら、お嬢さんの手前が有るでしょう

ご存じ無いのですのね。子育ての緊張ってそれ程続くものでは有りませんのよ。ベットでお昼寝でしたら女同士の時間を作っても不都合は有りませんのよ。

    西陣の帯は使えませんでしたけど、ブランドにお弱いのはバルセロナの金髪だって同じなんですのよ。珠樹のロッカーからまだ正札が付いたままのディアゴナル通りのロエベで買って頂いたワンピースには、立ち竦むばかりでしたのよ。お着替えさせるのなんて芸者珠樹の独断場なんですのよ。次から次と着替える度に、ランジェリーも交換に成るでしょう。

    二人の着せ替え人形がすべての答えに成りますのよ。

        お嬢様がお目を覚ませばお時間なんで

        すもの。恐らくお生まれで初めての時間

        だったのでしょう。芸者珠樹が生きて

        居れば、夜と昼と普段と日常を作るの

        なんて

日本もスペインも同じなんですのよ。

        珠樹は脱ぐ女をしっかり教えれば、

        ロウベの下のスキャンティーを際立た

        せる夜を瞼に焼き残すのなんて

ご病人の介護に嫌気が指して居るマダムを手の内に入れるのなんて訳は無いのですもの。

        芸者をスペインで使っても文句は言わせ

ませんのよ。