「 休めるのが一日延びたって大変な事なんだよ。此れだけは絶対なんだ。絶対って言葉は使いたくないけど、皆んなに同じ様に必要なのはお金なんだよ。此れだけは何が何でも一つの絶対として忘れないで貰いたいのさ。」

     ブーイングが出るのは承知で、敢て絶対って禁句を使ったんだ。意外にもお二人さんは逆らわなかったよ。張合いが無いって唖然としたのさ。


    「 お金が絶対だってホントに認めてるのかな。」

    ケラケラ笑われたんだ。


    「 功と暮らすって決めたら、一つくらい絶対で妥協しても好いでしょう。随分下だらないお説教をされたけど、全部功の愚痴として聞いてたのよ。ウソだと思えば思えるし、ホントが混ざってるって想っても何も生まれないのよ。だったら全部を愚痴として聞いてれば、納得して聞き流すしか無いでしょう。功のお財布から抜き取る代償として愚痴を聞いても好いのよ。お金さえ手に入れば、喋り疲れたら何を言って来るのか決まってるでしょう。セックスを愚痴を聞いた替わりと思えば、楽しまなくては損だと思えるでしょう。だったらセックスには、ご都合主義の所も有るから、絶対では無いのでしょう。」


    あっさり逃げられたんだ。ホントは

    「 休みが伸びたから、何か仕様よ。」

つて言っとけば、ムズムズしてるセックスを

        其の場のご都合主義

で、アッサリ交わされる事も無かったんだ。エサが目の前に有るのに、お二人さんのご都合で、都合が好い時はって

        話し合いは着いてますのよ

と、逃げられちゃったのさ。


    「 ドウ仕様、今日は水曜日だから金曜日の夜までに戻って来れば好いのさ。此処で連泊しても好いけど―――」

    「 遣る事って決まって居るでしょう。私たち不調法ですから、カラオケもボーリングも、ゴルフもテニスも出来ないのよ。功が好きなら一人で行ってらっしゃい。」

    見透かされてるなんてじゃ無かったのさ。まだ戦争の匂いが消えた訳では無かったね。下町の復興は早かったけど、秋葉原の神田市場の周りは其れこそ何も無かったんだよ。

        力行グラージってへんてこな名前の

        運送屋の跡地は、総武線をお茶の水で

        中央線と繋ぐ工事の資材置き場に

        成ってたでしょう

確かに東京の復興は目覚ましかったけど、大衆娯楽までは手が付けられて居なかったのさ。


    娯楽って遊びと云えば旅行しか無かった時代だったね。細かく云ったって歴史の教科書とは違うのだから、僕たちオジン、オバンの休みと言ったら

        温泉旅行しか無かったんだ

    「 何処へ行こうか。東京から北の温泉って言ったら群馬が主流なんだ。雪が積もったままだから、車は止した方が無難なんだよ。列車で行くのなら―――」

    ダメに決まってるね。進駐軍が撤退したら黒人のマリーは総スカンなんだ。オリンピックで外人選手や観光客が来れば別だけど、今の移動は車を使った方が無難なんだよ。

    結局今日一日はのんびりして、明日は5人さんのご新居を急襲するのに決まったのさ。なんとも面白味が無い三人組の大人なんだよ。ホントに

        飲むかセックスするかしか無い時代だったのさ。