「 そうだったのか。アレから何年に成るかな。良く話して呉れたな。」

    「 やっと話し相手が見つかった想いなのよ。一人で生きて行く覚悟は決めて居たのに、貴男に拾われたでしょう。でもずーと独りだったのよ。思い掛けない聖心の暮らしが有ったので救われてたのよ。でも変なのね。やっと話せる気に成ったのですもの。愛だって思おうとは思わないのよ。二人でなら生きて行けるだけなのね。ズルい女だって言って欲しいのよ。」

    「 そうか、ワシもズルい男なんだ。毎日お前の事を愛人と思い込もうとしてたのさ。結婚を盾に取れば逃げられはし無いとな。本心は芸者で居て欲しいと思って居たのさ。何しろ歳の差が有り過ぎるだろう。此処まで近づくのに8年掛かったのだな。もう芸者も結婚もドウでも良く成ったんだ。話し相手で居て呉れればとな。今日も何とは無く此処に来て仕舞ったな。此れがウソも隠しも無いワシなんだな。」


    「 嬉しいも何も、一人じゃ無いのを感じてますのよ。女って話し出したらキリが無いのですもの。タダ聞いて欲しいだけなのよ。眠ってても好いから聞いてて呉れれば満足なのよ。聞いてて呉れるのを余丁のおバカさんに求めたのよ。お披露目の話をしたら貴男の事を笑ってたのよ。ホントも知らないで粋がってるおバカさんなのね。」

    「 おいおい、奴に其んな話をしたのか。」

    「 貴男が悪いのよ。聞いて欲しいのにお真面目なんですもの。余丁に言って挙げたのよ。

         坊やよりサイズも固さもずば抜けてる

         のを必死の思いでお受けした

って。お口を開けてポカンとしてたのよ。ご免なさい。貴男って真面目過ぎるのよ。やっとお遊びの相手に成って呉れるでしょう。私って貪欲だから、真面目な貴男も好きだけど、遊び相手も欲しいのよ。」


    モンジュイックの森は、どちらかと言うとお遊びの森なのね。やっとネクタイを捨てるまでには成ったけど、マダマダ大人を捨てきれない男なんですもの。大丈夫よ、強かな珠樹なんですもの。8年掛けて肩の荷を降ろさせましたのよ。明日は退職のホントを聞き出して見せますのよ。