「 根津中では外部の圧力、つまり苛めに対応するので10人は纏まって来れたのさ。マリーが半年カナダに連れて行ったので、帰って来た時は成長の度合いが凄かったんだ。だから十文字高校は彼女たちが決めたんだ。恐らく根津中の教訓とカナダの生活で自主性って言うのかな、自立の心が目立って帰って来たのさ。もう僕が入る隙間は無かったので、マリーに全部任せる気に成ったのさ。」
「 そうだったのね。女の子が一番難しい年齢なのよ。巧く乗り越えたとは思うけど、団体生活から個人の主張が強く成る暮らしに入るのは難しい筈なのよ。」
「 そうなんだ。十文字の入学式にも行ったけど、節目に会って見たら共同生活の脱出にはかなりの差が見えたんだ。早くに大人に成った連中が併せて居た様だったが、爆発前に家を持たすので何とか独立に進めるのではと思ったのさ。」
「 そうよ、もう自分の部屋では収まらない年齢なのね。確かにオリンピックの狂騒を嫌ってた神明町の工務店には好い条件だったと思うのよ。東京を外れれば、オリンピックに巻き込まれるのは少なく成るでしょう。裏日本は戦争の被害は受けて居なかったのね。ですから金沢の湯湧温泉に力を入れるのは正解だったと思うのよ。」
「 マリーの混乱も有ったでしょう。言葉を教えるのから友達付き合いが始まったとは言え、肌の違いはドウ仕様も無かったんだ。何しろ1対10でしょう。子供が10人とは訳が違うのさ。だから独立した家庭を作るのに元芸者衆に頼んだのに、家庭のかの字も知らないのには驚いたんだ。言葉は悪いけど
君さんは拾い物だと思ったのさ
家の新築の速度が鈍ったから、マリーが帰って来てからゆっくり立て直そうと思うんだ。」
「 そうよ、焦ったってドウ仕様も無いのよ。娘たちに会わなくても大凡の事は判るのよ。経済面でもあの5人は他力本願なのよ。皆さんもう50に近い筈ですから、今から自立なんか出来ないでしょう。其処へ行くと10人のお嬢さんたちはお達者の様ですから、恐らく5人衆を相手にはし無いと思うのよ。有る意味で女の地位は経済力で決まる事が多いのよ。ですから功の経済力を巧く使えば5人の人たちは親と言うよりはお手伝いさんの格として、娘さんたちが受け入れるかも知れないのよ。下働きが必要な年代なんですからね。
お掃除するとかお片付けって嫌う
物なのよ。強制は出来ないけど必要
だって認めさせるのにはかなりの忍耐
力とご褒美と時間が必要なのね
大学の4年って丁度好いタイミングとも言えるのね。」
僕には違う角度からの心配が有ったのさ。