「 岩崎コンツェルンに着いては教えられて居たのさ。

        日本の財閥の分析も済んで居たのだ

        ね。中でも岩崎は、丸の内の土地と

        東北の殆どを買い占めて居た不動産

        が主な業務の分析は終わってたらしい

        んだ。

産業はって、鉄鋼業と造船業が岩崎の主力産業で、

兵器産業は二次的な物だって研究はされてたらしいんだ。主にホワイトハウスに送り込まれた学者グループの分析だったので、軍も政界も其れほどは重要視し無かったって教えられてたのさ。岩崎の分析もかなりの所まで突っ込んで聞かされては居たけど、弥太郎さんがイギリスを巻き込んでアメリカの思惑を交わしたのは他からの情報で知ってたんだ。」


    「 そうだったのね。私は

         高輪から離れなさいってのは、日本か

         ら離れるとばかり思ってたのよ

まさか岩崎から離れなさいってだとは思わなかったわ。」

    「 高輪に連れて行かれたでしょう。珠樹って勝海舟が囲ってた芸者さんの名前だっての聞かされて、柳橋の置屋が預かって居たのも知ったのさ。

         留め名を引き継ぐってのは大ごと

         だって知ってたのさ。

だから弥太郎さんに会って見様と高輪に行ったんだ。マリーからは加賀家訓も教わってたし、其れに倣って岩崎も世襲を止めてるのは聞いてたんだ。伊勢の畠山家からの養子だとは知らなかったよ。会って見て気が着いたのは、家督相続に迷ってるのが見えたのさ。肩を怒らして居るのって空威張りが過ぎるのにね。珠樹に何を聞いてたのかは知らないけど、お乞食同然の僕を無視できない何かはストレートに知る頭は持ってたのさ。畠山家は知らなくても、世襲を嫌うのか、他に何かの事情があってかは別として、岩﨑財閥に片意地張ってるのは感じたのさ。

         だからもう、離れたらドウかって云った

         までだったのさ

あの時は其れが本音だったんだ。マリーは僕の先生だったけど、進駐軍の特権を使うのは嫌いだったのさ。何よりも除隊してからが頭に有ったので、僕の言い成りに凄い事に加担したんだ。仮に追及されたら死刑だけでは済まない筈なんだ。関係した多くの人たちが巻き込まれる犯罪を主導したのが特任大佐のマリーだったのさ。何を遣って来たのかは追々話すけど、マリーは死んでも離せない仲間なんだよ。」


    「 そうだったのね。珠樹の話ではマリーさんとはセックスで繋がってるだけだって聞いてたのよ。娘のヤッカミを外して聴いては居たのよ。其んな不思議な関係が有ったとは知らなかったわ。」

    「 いや、敗戦からの諸々を受けてたのは皆んな似た様な物だとは思ってるよ。戦争を利益に使ってる奴が居るのは現実なんだが、僕は敗戦を巧く使って来たんだ。マリーの特権を目一杯使ってね。マリーは黙って僕に遣らせといて呉れたのさ。自分の利益って言うか、自分を殺してまで僕に尽くして呉れたんだよ。だから日本でマリーは受け入れられ無くても、僕はマリーのアラフォーを忘れて終わりまで一緒に居ようとして居るのさ。君さんも目一杯使わせて貰うよ。其れは10人の娘たちの為では無いんだ。マリーが実家を作って日本で暮らして行ける様にしたいんだよ。君さんに取ってはマリーが受けたのと似て大迷惑でしょうが、マリーの実家を作るのって10年、20年掛かりの大事業なんだ。今のマリーには世界で馴染めるのは10人の娘達だけなんだ。其の彼女たちが大学を出てから社会の歪に巻き込まれるのを僕は知ってるんだ。其の時の為にマリーが実家となるのを援けて欲しいんだ。マリーの為でも有り、僕と10人が此の先子供が出来て追い込まれるだろう難問を受ける駆け込み寺を作るのにだよ。」

     何ともチャランポランな話に成っちゃったんだ。