眠れませんのよ。熟睡為さって居る

        ヤー様のいびきとおならなんですのよ

高輪の6年と変わらないんですもの。


   スペインのバルセロナなんですのよ。レイ・ファン・カルロスのクイーンズなんですのよ。今夜はバーはお避けに成って、早い時間から珠樹をお求めに成ったのでした。日本を出てから初めての夜でしたのよ。


    何時もと変わらず珠樹の中に何度も下さいましたし、終わって呆然と為さって居たのも何時も通りでしたの。ソットお体を入れ替えて、ピクピクを繰り返しながら抜け出すのにタオルを当ててお請けするのも、もう慣れて居ましたのよ。珠樹の中から流れ出る物も、量と言い、アノ饐えた匂いも変わりませんでしたのよ。バスタオルをお腰に拡げ、もう一枚をお腰の下にしくのにお体を逸らせるのも何時もと変わりませんでしたの。お傍に滑り込むとお手を珠樹の胸に置かれて、数分もし無い内にいびきが聞こえ始めましたのよ。高輪と違いますのはセックスだけでしたのよ。


        何が珠樹を眠らせ無かったのでしょう

其うなんです。此処はスペインなんですのよ。日本を出てから2年に成りますのね。ローマからシチリヤに渡り、そして今スペインで4度ホテルを変えて、此のレイ・ファン・カルロスに落ち着きましたのよ。全部各地の岩崎商事の支局の確保したホテルですのよ。

違いますのはスペインではガイドとしてマドモアゼルを同伴して下さいましたのよ。珠樹の女性を思い遣っての計らいと思って居ましたのね。パリ支局からはお若い素敵な女性が居らっしゃいましたのよ。

        フランスには寄らないぞ。真っ直ぐ

        ローマに戻ろうでは無いか

其の指示に、パリ支局がお応えに成ったのが現地採用の女性を指し迎えに成りましたのね。


    恐らくスペイン支局との連携が有って女性ガイドを向けられたのだと軽く思って居ましたのよ。スペインのマドモアゼルは珠樹のガイドとして、言葉を教えて下さる者とばかり思って居ましたのよ。パリ支局の特別の計らいは、珠樹がご年配のマドモアゼルを独占する代わりに、彼好みのフランス女性が居らしたとばかり独りよがりして居ましたのね。

        何て事だったのでしょう。ローマ支局を

        初めとしてヨーロッパの各支局の

        取り組みは全く違いましたのよ

観光の端境期とは言え、レイ・ファン・カルロスはバルセロナでは別格のホテルなんですのよ。其のワンフロアを独占して、三つのお部屋を珠樹とお二人のガイドの為にスペイン支局が確保して居ますのね。

        此の特別の計らいは、ヤー様の大物

        を示す本社の指示による物だと

軽く思って居ましたのよ。


    ジッとお休みのお姿を見ながら珠樹の想い違いに気が着きましたの。全部特別と言うよりは、別格の計らいでしたのね。

    「 好いんだ、東京からの指示で支局が動いて居るのさ。岩崎商事の支局には違いないが、コンツェルンの指図なんだからゆっくり楽しませて貰えば好いのさ。」

    流石大物とばかり思い込んで居ましたのよ。

        此の90キロの巨体でいびきとおならを

        平気で出して居るブタさんの付け人

        何ですから、楽しみ楽しませして差し上

        げれば、

其れが芸者珠樹のオツトメなんだって軽く考えて居ましたのよ。


    何て事だったのでしょう。全く違って居ましたのよ。正しくは73にお成りなんですのよ。珠樹は40歳くらいに該当する壮年の男性とばかりに思って居ましたのよ。いーえ、其う思い込んでセックスとヨーロッパ観光にお付き合いするのが芸者のツトメだと割り切ろうとして居ましたのね。

        各支局は最期の計らいとして別格の

        支持を得て居たのでしたのね

商事からの手配では無かったのでしたのよ。コンツェルンを代表して岩崎商事の各支局が総力を挙げての心配りでしたのよ。

        何て浅はかな女だったのでしょう。

        ローマで気付くべきでしたのよ。アル

        ファ・ロメオはフランスから取り寄せた

        車でしたのよ。フランスナンバーが着い

        て居て、イタリヤの婦人警官が警備に

        同乗して居ましたのよ

ヤー様って大物なんですのね。と、自慢タラタラでしたのよ。此のいびきとおならで眠りコケテルお人は、

        飛んでもない人物でしたのよ

アレから8年に成りますのに、ただの一言も仰いませんでしたのよ。

        日本占領に当たってホワイトハウスが

        マッカーサーに出した指令のトップは

        岩崎コンツェルンの解体

なのは功に聞かされて居ましたのよ。何て言う事だったのでしょう。其れを軽く聞き流して居たのですもの。