「 そうか、此処を根城にしたいのは、木曜日の出社に間に合わせるのには距離から行っても此処が限界だって言うのだな。」

    君さんが怒ったんだよ。

    「 何が言いたいのかハッキリ為さい。遠回しには女は怒るのよ。お電話でチャンと言っといたでしょう。功坊やのお仕事とニガーのマリーに併せるって。ヤル気が有るから来たのでしょう。其れとも柳橋の姥桜を口説こうってのなら別なのよ。」

    可笑しく成って後ろを向いちゃったのさ。弥太郎さんのタガが外れたら、40年磨いてた牙を剥き出しにして男を突き飛ばして居るのさ。珠樹が言ってたよ。

        弥太郎さんのエッフェル塔の肩透かし

        で参ってたのが復活した見たいなのよ

        功が悪いのよ。隅田川で溺れかけてた

        私を抱いてお店に担ぎ込んだでしょう。

        見てたのよ。河童の珠樹が溺れる筈が

        無いって。お眼が釘付けに成ってた

知ってたさ。珠樹の演技の上を行かなくっては。柳橋なんか知らなくても、珠樹を見て居れば女の城だってのは判ってたのさ。だからチョコットお芝居しただけだったのさ。


    「 そうか、本気なんだな。」

君さんのお扇子が飛んだのさ。半分開いた扇子が見事に親方の鼻っ柱に飛んだんだ。

    「 お座敷芸の一つなのよ。お扇子を飛ばしてお猪口に当てないと一枚ずつ脱がされるのよ。芸者って其れで男を操れるように仕込まれるのよ。」

    少しずつ飲み込めて来たのさ。それと無くスッポンポンが見劣りし無いのを言ってるのだよ。其の夜の話なんだ。凄かったんだ。亀の首を半分呑み込んで遊んでるのさ。閂を降ろされたら動きが取れないでしょう。後ろから押し寄せてるのを燃やしてる感じなんだ。限界を少し過ぎた所で開くから堪ったもんじゃ無かったね。少し緩んだので滑り込むと、今度は亀の首で捕まっちゃうのさ。


    「 判った、手順を話すぞ。」

やっと設計図に辿り着いたのさ。明治の芸者さんって特別なんだよ。真綿で首はセックスだけでは無いのさ。5代目を自称して居る親方だって振り回されてたのさ。

        いや、僕に見せてたのかも知れなかっ

        たのさ。乗り換える馬を弥太郎さんから

        僕に替えたってのを

ね。夜は僕に乗って、マリーが帰って来たら会計をマリーに絞って乗り換えるってね。