「 バルセロナでスペインの生の言葉を覚えたいのよ。お願いなんですけど、街に出たら日本語は使わないって指切りゲンマンして下さいな。」

    で今日は、マドモアゼルとご一緒しましたのよ。

    「 好いだろう。パリ娘は一度帰りたいって言うから2週間の手当てを渡したのだ。戻って来なくても」

    「 其れを勝っ手と言いますのよ。女には殿方には無いお休みが必要なんですのよ。私だって時にはお酒で軽くしたい時も有るのですもの。あの方が居て呉れれば何かとお役に立つ時も有るのですもの。珠樹の我儘だと思って、2週間のお休みは認めますのよ。」

    お芝居を見破られる楽しみに持って行くのですのよ。お父上にお誘いすれば、何日かは見破られてもマドモアゼルが援けて呉れますのよ。珠樹のお酒のお相手をしてね。一気飲みで荒れるお相手には慣れて居るご様子なんですもの。強かな芸者を使ってもお宜しいのではと思って居ますのよ。


    「 バレンシアとは違う郷土料理のレストランが有るのですって。」

    「 急に何を言い出すのかと思ったら、狙いは何なんだ。言って見なさい。」

    別に打ち合わせをしたのでは無いのですのよ。言葉の壁を使って女心でマドモアゼルを引き込んだのですもの。ヤー様の男性を呼び出すのって、パリジェンヌの専売特許とは限りませんのよ。珠樹が娘に化ければマドモアゼルもお色気を持ち出したって好いでしょう。年増のスペインの女性には、珠樹にもパリ娘にも無い物が有りますのよ。増して日本語がタブーなんですから、イヤでも巻き舌のスパニッシュが仲を取り持つ様に成りましたのよ。


    「 ラ・ダマで好いかと言ってるのだ。」

ソッポを向いてマドモアゼルと片言のスペイン語でお話して遣りましたのよ。お気が着かれましたけど、マドモアゼルに甘えて見せましたの。今までのガイドとは違うのを見せれば、女同士で合わせるのは何処の国でも同じなんですもの。流石にご年配の嗜みはヤー様を放っては置きませんのよ。左手に珠樹で右手には彼の袖を掴んでラ・ダマに入りましたの。

    素敵なんですのよ。個室に成って居まして、ウエイターとウエイトレスが着きますのね。全部スペイン語でしょう。彼にマドモアゼルガ説明しても頷くだけなんですもの。珠樹はウエイトレスのお姉さまを取り込みましたのよ。手ぶりを交えてお酒を注文しましたの。メニューを見せられても皆目でしょう。勝っ手にお酒から入れば自然に2対1に成りますのよ。ウエイトレスさんって教えられ無くてもサービス係なのに決まってますでしょう。自然に父親から外された娘が出来ましたのよ。


    ウエイターさんもお店も、其の辺は心得た扱いなんですのよ。判らなく成るとマドモアゼルが助けに入るでしょう

        日本語はタブーでも、イングリッシュは

        使えますから、父親の連れ合いと話す

        のが自然に疎外された娘に

成りましたのよ。マドモアゼルのご機嫌な事。ヤー様も珠樹を娘とし無ければお立場が怪しく成り始めたのですもの。マドモアゼルの妖艶に巻き込まれるのが自然に成ったラ・ダマでしたのよ。イングリッシュで詳しく説明されましたのが、ヤー様もお聞きに成って居たのですのよ。言葉の不思議と申しますか、二か国語を使い分けて居る年増のご婦人が主役に成って行きましたのよ。3時間は居ましたでしょうか。珠樹の娘が自然に成れば、イヤでも父親役を務める結果に成りましたのよ。元々歳が離れて居たのは誤魔化し様が無かったのでしたのよ。珠樹が娘として振る舞えば、自然の成り行きと成るのは当然のバルセロナでしたのよ。夕方までのお散歩が明日も約束したのですのよ。あら、芸者珠樹には戻りましたのよ。適当に、かなり親密にね。