バレンシアの朝って素敵なのよ。レイナ・ビクトリアのカーテンの隙間から差し込む朝の光に乗って地中海のそよ風が頬を撫でるのよ。お背中を向けてる彼にのの字を書いて起こすのよ。
「 ウーン、もう朝か。夢も見無かったぞ。」
ですからチョットエッチな夢を見せて挙げるのよ。上に被さってお早うのキスをして挙げるの。ミスとミセスの間のキスなのよ。捕まりそうに成るから飛び起きてカーテンを開けるのよ。中腰でクイーンズから出ない彼に飛び付いちゃうの。もうお日様も見てるから中途半端なご挨拶に成るでしょう。ベルで切れるからお電話を彼に渡すのよ。
「 次の間のお二人さんさ。散歩に行こうって催促なんだ。帰って来てからで好いだろう。」
何をお考えなのかしら。朝シャンに決まってるでしょう。彼のおぐしの寝癖を直して挙げてる間に珠樹も手櫛で絡まってるのを解すのよ。只其れだけで自信が戻るのよ。唇はヒトめぐり舐めたら爽やかに成るでしょう。ルージュって二人で作れば完成なんですもの。鏡なんか見なくても彼が教えて下さるのよ。
言う事無しだな。目覚めの珠樹には
お二人さんも脱帽なんですって。其れが朝の散歩なのよ。珠樹のスッピンがご自慢なんですもの。腕を組んでの彼が珠樹も誇りなのよ。ドウ見ても40ソコソコの男なんですもの。95㌔には見えない筋肉の締りでしょう。もう嬉しくって思わずステップ踏んじゃうんですもの。彼が合わせて下さるから、スペインの踊りともムーランルージュの踊りとも見えない二人に成るのですもの。
人影が無いのが恨めしい位なのよ。お二人さんはお付きを取り戻してるので後ろに着いて来るでしょう。見せて挙げるのでも無いのですけど、ステップは止まらないのよ。珠樹が止めると彼が抱き上げる様にしてグルグル廻るでしょう。
「 辞めて、目が廻るでしょう。」
「 治せば好いんだろう。」
此んなのって有るのかしら。横抱きにされてお口が追い掛けて来るのよ。捕まるまでの熱い事って、
――――もう知らない。何時の間にか後ろのお二人さんも手を繋いでるのよ。レイナ・ビクトリアから海の門に向かってお散歩すると5分で小さな公園に出るのね。エル・マグナーニモって細長い造りの広場なのよ。其処を一回りすると丁度お時間なのね。傍の学校のチャイムが鳴ってお散歩の終わりを教えて呉れるのよ。
朝のバイキングのお鍋が嬉しいのよ。お姉さまが教えて下さるのよ。
週代わりのお鍋なんですって。
スペインってカトリックが国教なので、其れに合わせてる向きも有る様なのね。それと無くイスラムも加えてるのですけど、土地の人にも合わせたカナッペ等も出て居ますのよ。アンダルシアの風習って働き者が普通なんですって。ですから朝にスタミナを付けるのが決まりに成ってる見たいなんですのね。
冷たいオリーブの実の付け合せも素敵なのよ。暖かいお料理の口直しには持って来いなのね。
マドリードではバースの定番に成って
ます
と、教えて下さいましたのよ。お若いパリジェンヌも
摘まんで見てお目をパッチリ為さって居たのですもの。ご存じ無かったご様子で珠樹も溜飲が下がりましたのよ。いーえ、やっぱり胸に支える物は有りますのよ。まさかお料理がアダに成るなんて思いませんでしたのに、レイナ・ビクトリアの自由なお料理には様々な思いが入って居る様に感じましたのよ。