猿ヶ京温泉ってゾットし無い温泉だったね。名前って名称がだよ。誰れが言い出したのかは知らないけど、観光温泉に着ける名前とは思えなかったんだ。仲居さんに聞いたら
「 知らないわ。古くから有る温泉なのよ。元々は土地の庄屋さんが湯治場に使うので温泉宿にしたみたいなの。」
其れしか教えて呉れなかったのさ。佇まいは静かな山の温泉の感じだったね。露天風呂にマリーを抱いて沈んだのさ。無色透明のお湯だったからマリーの全部が透けて見えてたんだ。なんとも言えない絵に成る感じだったのさ。何時もだったら僕のチンチをお股に挟んで遊ぶのだが、其れも遣らないでそっと反り返ったんだ。僕の目の前に縮れっ毛を被った観音様がお目見えしたのさ。奇妙に其れがマリーの内緒の宝物に見えたんだ。
「 好いね、素晴らしいよ。此れこそマリーなんだ。不思議な気持ちなんだよ。此処に誘い込まれたのって何万回じゃ効かないんじゃ無いかな。今は勿体なくて其の気に成らないんだよ。」
「 マリーも其うなのよ。何と無く見て居て欲しいのよ。変なの、お腹の中からジーンと来てるのにまだ待てる気に成ってるのよ。燃えるのが少しずつ変わって来てる見たいなのよ。」
言葉は要らなかった。僕の肩にマリーの細い足を掛けて、僅かに腰を揺すってるのさ。其れが性器の踊りに見えたのさ。
「 凄いよ、マリーが娘に戻った感じなんだ。ほら、そっと可愛がって欲しいって言ってる見たいなんだ。此れが恋なのかな。僕たち何も知らない内に付き合い始めたでしょう。皆んなと違う道から入ったのを教えてる感じなんだよ。」
「 いーえ、最初から此うだったのよ。男を避けて来たマリーに、マリヤ様が功を送って下さったのよ。そうよ、此うした出会いで結ばれる人って多いと思うのよ。ハイスクールの記憶は無くしたけど、ハーバードでは惨めなマリーをさらけ出したく無かったのよ。今初めて幸せなマリーを見て欲しいのよ。」
其れを言い、伝え合うのが精一杯だったのさ。
部屋食は豊かだったよ。いや品数は豊富だったが家庭料理に近い暖かな物が殆どだったのさ。畏まってるマリーに仲居さんがお酒を勧めたんだ。
「 今が一番冷える時期なのよ。少し召し上がった方がお腹には好いと思うのよ。」
「 僕も頂こうかな。地酒だと思うけど、かなり強そうだね。此の人が酔ったのを見た事が無いんだ。出来たら今夜酔わせて見たいんだ。」
仲居さんも悟った様だったね。恐らく黒人なんか見た事も無かったと思うのさ。其れがアクセントを感じないベランメーでしょう。僕に溶け込んでるのに親しみを覚えた様だったね。此の辺には観光地としての温泉は多い筈なんだ。其れなのに猿ヶ京って時代から置いて行かれた温泉宿にフラッと立ち寄った白と黒の二人に好意の有りっ丈を見せたのさ。マリーが窮屈な足を延ばして膝を崩したのさ。
浴衣がはだけて何も履いて無い素足がそっくり見えたんだ。仲居の小母さんが其れを直そうと手を伸ばしたのさ。
「 好いのよ、少し酔いたいのよ。出来たら一緒に飲んで下さいな。」
「 僕も其うして欲しい気持ちなんだ。見て判ったと思うけど、此のマリーとの8年の付き合いの中で初めて酔いたいって成ったのさ。僕も酔うから小母さんも飲んで呉れないかな。此の料理も三人で摘まんで食べ様よ。マリーと初めてのデートにしたいんだ。無理を承知でお願いしてるのだよ。」
無理だとは思ったのさ。ところが仲居さんの頬も染まって膝を崩して呉れたのさ。マリーも嬉しかったのだね。初めてのデートまでには行かなかったよ。二人で、嫌三人で夜が更けるまで飲み明かしたのさ。もうシッカリ34歳と26歳のオジンとオバンを明かしてね。お互いに初恋を作ろうとして飲んだのさ。