ジブラルタルって要塞都市なのね。チャンと街に成ってましたのでお昼は軽く頂いたのよ。其の美味しいのは月並みにお知らせしとくわ。なんたって要塞の中でのお昼でしょう。ゾクゾクしながらスープに噎せるなんて、二度と味わえない興奮でしたのよ。

   と、書いて有りました。何日かはマリーを陰ながら援護しようと思って居たのです。娘たちがマリーの言い出したオーストラリアにOKしたって聞いて、

        此りゃ好いぞ。悪魔の教師が着くのなら

と、計画変更と成ったのです。まあ悪魔の例えは僭越だとは思いますよ。だって其うでしょう。16歳の小娘が遣って来た事と言ったら、大人を食い物にして来たのですよ。正面切っては言えませんから陰で言いますが、誰れが賢くて達者だったかと言うと、全員あの子達に翻弄されたのですよ。


   普通の16才だったら

       お世話に成りますってシオらしい挨拶

位はするでしょう。あの子達は会釈もし無いのですよ。皆んなで輪に成ってはしゃいで終わりなのですね。お見事、12歳から16歳を見事に使って切り抜けて来たのです。今のマリーは過去の全部のタガに嵌って抜けられなく成って居るのです。ドウシマスカ。言って治る物では無いでしょう。そりゃ僕の稼いだ裏金を使えばイットキは何とか成りますね。だったらその裏金を娘たちに使おうって気に成ったのです。今更あの子達の処世術に賭け様なんて思いませんよ。恐らく一生物に成るでしょうからね。ですから放って戸田に戻る気に成ったのです。珠樹の便りを採りにね。


    トレヴィの泉から1年、何を遣って来たのでしょう。いきなりスペインの興奮の真っただ中に居ますのよ。

    の書き出しから、マラガのヒブラルファロ城内に泊まった興奮が乱れた筆跡にも表れて居ました。お城の中にマラガ・ヒブラルファロって舌を噛みそうなホテルが有るのですって。流石のヤー様もご存じ無かったと書いて有りました。変わった土地には興奮は付き物ですが、珠樹も余程の新鮮と言いますか、思い掛けないスペインを見せられて正常では居られ無くなったのでしょう。現地採用したご婦人たちが付き添って下さると書いて有りましたので、其れも嬉しいお付き合いに成ったと思います。単にガードを努めて下さるのなら慣れて居る筈ですが、ご婦人たちの様子が細かく記されて居ましたので、其処からも興奮が伝わった様でした。


    弥太郎さんもスペインにお腰を据えると仰って居ますので

の内容にも、スペインには気に入った以上の何かを感じた様でした。お城の中のホテルと書いて有りましたが、おそらくヒブラルファロ城を其の儘ホテルにした物だとは思いました。手紙は此の一通だけでしたので、興奮のほどが其れでも読み取れる感じでした。此の分ではシチリヤに戻るのは無いかとも感じたのです。