アダルトフィクションでは無いと言ったって、人間の暮らしの中で性が占めてる部分は大きいのだよ。アメリカでは同性同士の婚姻を認めるそうだけど、其れって自然の世界に反する事だと思うのさ。確かに動物世界にもオスに跨って行くオスが有るのは事実らしいね。狂ってると言うよりオスとメスの比率が巧く行って無い現象かもしれないね。だからと言って子供同士だと、センズリに手を貸す時代が有るのは否めない、育つまでのイットキの現象なのさ。何れは其れが異性を求めるのに変わって行って、スカート捲りから徐々に進んで行く物なのさ。其れが性の完成があらぬ方向に進んだとしても、婚姻まで正式に認めるってのはドウかと思うのさ。


    だからって、此のフィクションの中に男女の性が入って居ても好いと思うのさ。だから芝浦ふ頭の草むらで昔を思い出したってみだらと思って貰いたくは無いのさ。

    「 確かに此処が出発点だったね。其処でハッキリしときたいんだ。あの時は男と女だったでしょう。黒も黄色も無かったね。お互いに求め合って今が有るのさ。其処で原点に戻ろうよ。僕はマリーが欲しいのさ。いや、居て貰わなくては狂っちゃうんだ。愛だとか恋だなんて思って貰わなくても好いのだよ。兎も角好きなんだ。気が合うだけでは無くて何から何まで全部マリーなんだ。此れを判って貰いたいのさ。」

    「 マリーはもっと酷いのよ。功だけに目が眩んでるのよ。有った事を言えと言われても―――」


    「 待ってよ。全部忘れろって言っても出来ないのが人間なのさ。お互いに都合が悪い事は云わないで忘れる様に仕様よ。其れでもマリーの肌を言ったのは、其れが原点でも有るし、此れからの二人の暮らしの中でも、其れをキッチリ認めちゃうのが必要なんだよ。言わないで済まそうとするのが無理なんだ。苦しい事って何回も口に出してる内に段々軽くなって行くのだよ。僕には無いマリーの苦しみだけを言うのは卑怯に思える筈なのさ。だから僕が一言云ったら其の十倍も二十倍もお返しをするので埋め合わせようと思うのさ。ドウだろう、マリーが望む事を言ってご覧。」

    一度に言ったって無理に決まってるね。ところがマリーは納得したのさ。


    「 嬉しいわ。マリーには自分で出来ない事を言って呉れてるのね。じゃあ言うわ。幾つも欲しい物、求めたいものは有るけど、今欲しいのはお金なのよ。自由も結婚も欲しいけど、其れを先送りしても好いからお金だけは欲しいのよ。今使えるお金では無いのよ。安心が買えるお金が欲しいのよ。」

    「 判った、良く言って呉れたね。一番言い難い事なんだ。其うだよ、今使うお金を欲しいのとは違うんだね。皆んなキレイごとで誤魔化して自由が買えるお金なんて言うけど、自由なんて世界の何処にも無いのだからね。平和もそうだけど平等だとか公平なんてのも、何処にも転がって居ないのさ。判った、安心を買えるお金を用意すれば好いのだね。今日の安心は用意するよ。明日も来年の安心も心がけて置けば好いのでしょう。僕に出来るのは限られてるけど、来年も再来年も努力するって言えばいいのでしょう。」


    「 そうよ、其れが基本だしマリーは何時ももっとって欲しがるのよ。判るでしょう。其れから入りたいのよ。一緒に居れば安心がどのように生まれるのかは判るでしょう。」

    其れだけだったのさ。実はマリーが求め続けて居たのは安心なんだ。一番安心できる時ってのは、僕の凸をマリーの凹が受け容れた時なんだよ。あの時の幸せよりも何よりも

       功と一緒なんだ

って、安心が一番心にも頭にも染み透って来る時なのさ。

       死ぬまで此の侭で居たい

って安心が有るからこそ今日も明日もセックスしたくなるのだよ。楽しみも否定はし無いけど、何よりも言葉では言えない安心が有るのがセックスなのさ。その次がお金なんだよ。