「 夏休みをカナダで過ごすのまではマリーの手の内に有った筈なのさ。其れを冬休みまで延ばしたのは娘たちの罠だったのさ。根津中の2学期をサボることに成るでしょう。其れをマリーが始末して呉れる筈だと読んでたのさ。此れが娘たちの仕掛けた罠だったと言うのだよ。
彼女たちマリーが何とかすると
思ってたのね
と言ったら、むざむざと娘たちに乗せられてたのを後追いする結果に成るのだよ。だから此処では知らん素振りが大事なんだ。其れで逆にカナダ旅行を利用して罠を仕掛けるのさ。彼女たちは僕がスポンサーだと思ってるのさ。マリーは僕の使用人位に思ってるのじゃ無いかな。其の立場を知らない間に逆転して遣るのさ。カナダ旅行も此れからの旅行も全部マリーの懐から出てると教えるのさ。此れを言ったらダメなんだ。マリーに渡した珠樹のサブカードは、実は岩崎弥太郎さんのカードなんだ。其れを何回か使って見せるのさ。デパートでも好いし旅行会社でも構わないのさ。カードの調べは岩崎銀行から弥太郎さんのカードだって答えが返って来るのだよ。デパートなんかひれ伏すから、マリーには其のことを言って来るさ。
あらそうだったのね。自由に使いなさい
って言われてますのよ。位は娘たちに教えて遣るのさ。弥太郎さんとマリーが特別な関係だったのを、岩崎銀行に言わせるのさ。此れが第一の罠で、其れからの旅行はマリーの懐から出てるのを罠で教えるのさ。」
「 其処まで遣らなくても好いでしょう。」
「 ダメだなあ。マリーにも日本の遠回りの罠を知って貰いたいのさ。ストレートに言ったのでは、知らん素振りをするのが日本の世渡りの術なんだ。
日本人は訳が判らない人種
ってのは、其れも一因なのさ。顔色を変えないで誤魔化すから、大物だと思い込ませるのさ。娘たちも其れで世の中を渡って来たから、今度は其れを逆用するのだよ。マリーが独自の財布を持ってるのを知れば、少なくても経済に関する限りはマリーの下出に出る様に成るのだよ。お金に関しては僕との関係は無いと思い込ませるのさ。此れが日本流の罠なんだ。」
「 ふーん、じゃあ旅行を止めろって言うのね。」
「 違うのさ。旅行は続けるけど、カナダ旅行に娘たちの罠が有ったのは知らん素振りをするのさ。今度は楠さんの旅行を仕立てるのさ。資金は全部マリーが出すから、日数も予定も楠さんに決めさせるのさ。あの人は元々ケチだからお金を掛けない旅行を組み立てると思うんだ。其のトラブルは楠さんに向かうでしょう。トラブルを避けるのには、ケチを外してマリーに資金の増額を頼むしか無くなるのさ。だからマリーが別格扱いされるのと同時に、知らない内に楠さんも娘たちもマリーのお財布を頼る様に成るのだよ。甘ちゃんだと思ってたマリーが、資金面では逆らえない親分だと思う様に成るのさ。お金の魔力を知って居るかドウかなのさ。娘たちはカナダ旅行でシテヤッタと己惚れてると思うのさ。知らない内にお金にひれ伏す様に成るのが手始めなんだ。此れの延長が十文字では更に高額で、決定的な要因に成るのも気が着かない筈なのさ。楠さんも娘たちに乗って居れば、やっぱりお金と今の根津暮らしが手放せなく成るのだよ。」
ムツカシクは無いのだよ。お金の本質と使い方をチャンと知って居ればお金に振り回されることは無くなるのさ。大学卒業までのタイミングと考えれば、僕がスポンサーで有ろうとマリーがお財布を握って居ようとも、娘たちにお金を知って貰うのが大事な教育なんだ。