「 言葉で騙すってのは簡単だと思いこんじゃうのさ。赤インクを腕に垂らして痛い々々と叫ぶと大抵の人は乗って来るね。此れも騙しのやり方なんだけど、昔から狼少年を例に挙げて同じ様なだましが多いって言われて来たね。」

    「 何を言おうとしてるのか、はっきりしてよ。功は抽象的な話を持って来るから判らなく成るのよ。誰れが何時、何処で何を話したのか言って呉れれば判り易いのよ。」

    「 良く言って呉れるよ。じゃあ僕が今セックスしたいと言ったら信じるかい?僕が言うセックスって現実しか言わないのだよ。其れでもマリーは笑い飛ばすでしょう。何時も言う前にキスかハグから入るからなのさ。セックス仕様ってのが、過去の現実には無い言葉だからなのさ。狼少年の反対じゃないけど、一度騙された人は、一度のウソでも全部に用心する様に成るのだよ。楠さんはそれ程でも無いのさ。感度が鈍いってのかも知れないし、反応がドンなのかも知れないね。意外に人の言葉を瞬間で受け止めないのさ。其れを真面目で単細胞と言われるのかもなんだ。それに引き換え娘たちは敏感に反応するのさ。其れを繊細な神経の持ち主だと決め付ける人が多いね。

じゃあ楠さんには安心して何でも言えると思うかい。娘達には言葉を選んで言わないと誤解されるとでも言うのかい。根津中ではその反対に思われてる場合が多いと思うんだ。津軽弁丸出しのあの子達は、言葉の上では安全パイと思われてるのじゃ無いかな。」

    マリーは剥れたよ。


    「 功が何を言おうとしてるのか、はっきり言ってよ。あの子達が言葉に関してはドンだとでも言うのね。まだ半年しか経たないのに、マリーのアメリカンには半分以上は反応して来るのよ。意味を理解しようとして前後の雰囲気から言葉が返って来るのよ。言葉って知識とは別の物なのよ。アップルを一度覚えたら現実の果物としてインプットされてるのよ。其れをスイートやレッドとつなげるのも知識では無いのね。ですから言葉でその人が敏感かデリケートか何ては決められないのよ。」

     「 何だ、マリーの方が遥かにヤヤコシクしてるじゃないか。僕が言うのは一度騙されると用心して貝の口を閉ざしちゃう女性の本能を言ってるのさ。其れを娘たちに遣ってもらいたく無いのだよ。根津中に行けば団結で乗り切れたとしても、環境が変わって十文字に成ると、個人の知恵で乗り越えて行かねば成らないのさ。其れを楠さんに求めるのはコクと言う物なのさ。だからその一つの学習として、毎週旅行を組んで変化に慣れて貰いたいと提案したのさ。所がマリーを外したでしょう。そりゃ、お仲間旅行にしたいのかも知れないさ。其れでは変化に付いて行けなく成るのだよ。其れを心配したのさ。」

    ありていに言えば、マリーを外した意味が解らないのさ。前に言った様に、一度の行動をそのまま続けようとするのが女性の心理なんだ。一度体を許した男には、足を開くのに躊躇し無いのだよ。此れが怖いのさ。例えは悪いけど、娘たちに其の傾向を植え付けたら、十文字で混乱するのが見えてるからなのさ。

        どうすれば好いのだ。楠さんに任せるしかないから難しいのさ。