珠樹の声が聞こえたので川辺に出た。メガホンの声が、途切れ々々々に聞こえた。

    「 ティファニー―――ニューヨーク―――ダイヤのリング―――飛行機――― 」

    両手で輪を作って手を叩いた。後ろに立ってた旦那が笑って居た。

        ヤッタね、おめでとう

と、云って遣りたかったよ。どうやって落としたのかは判らなかったよ。だけど彼の懐に飛び込んだのは判ったのさ。

        だったら僕は、何を遣ったら好いのだろう

アホの功の頭を叩いたのさ。嫌われない様にするには、珠樹に尽くすしか無いだろう。高尾が有ったから、珠樹が変わったのさ。違うね、僕のお願を言葉で言ったからでしょう。其れもドウかな ? 珠樹を連れて出たのは初めてでしょう。あの時は高尾が限界だったのさ。だったら今度は富士山だろう。

        何て気が利かない功何だろう

モット珠樹が喜ぶ処が有るだろう。


    やっと気が付いたのさ。珠樹が欲しいティファニーは彼に任して置けば好いのさ。僕だけに出来る事が有るでしょう。

        飛行機に乗せようか

其んなの子供じゃ有るまいし。

        シベリヤ鉄道の旅

ってのドウかな。其れも彼に任せとくのが珠樹の希でしょう。そうか、僕だけに出来る事を考えれば好いんだ。海か山か、其れとも旅行かな。旅行は彼の領域なんだ。彼に出来ない事を探せば好いのさ。海だったらダイビングでしょう。東京湾に潜ったって―――何てアホなんだろう。珠樹が見たい海を聞けば好いに決まってるでしょう。沖縄かも知れないし、オーストラリアのバリアフリーかも知れないでしょう。先ずお前がスキューバダイビングを覚えて、珠樹を誘ったら好いだろう。

    

    山はドウだろう。何を考えてるんだ。山ってスキーも有るし、アルプスのマッキンレーも有るだろう。其処なんか彼の領域なんだ。彼に出来ないってスキー―――ゲレンデじゃ無いだろう。山スキーを覚えれば好いのさ。

        軽く考えるなよ。山スキーで

何人遭難してるのか知ってるのか。参ったね。此れから夏に掛かるんだ。スキーは先に置いといて、ダイビングから始めたら好いのさ。

    やっと目標が掴めたのさ。考えれば何も趣味を持って無かったね。珠樹だって似た様な物だろう。其れも聞いて見様とし無かっただろう。お前が学校に行って無いので珠樹が大学でクラブ活動してたかも知れないのだぞ。そうだ、先ず珠樹に話させるのだ。ニューヨークから帰って来たら、お風呂でジックリ聞けば好いのさ。今まではニブルスのオイタに拘ってたけど、ヒョットすると彼がセックスを教えたかもでしょう。其れもチャンと聞くのを珠樹が望んでるかも知れないでしょう。やっと三人の組み立てを、自分勝手に遣ってたのに気が付いたのさ。

        珠樹に好かれるのには

お前は先走ってたのだぞ。何で受け皿として、何時でも待ってるのを思わなかったんだ。ダイビングを嫌うのなら其れでも好いのだぞ。其れをお前は無視し、強制し、お先走って居たのだぞ。珠樹はお前と共に楽しみたいって言ってるのさ。彼とも共に楽しみたいの。其れをお前は横からイチャモンを付けて、割り込もうとしてたんだ。ドウシテ彼と珠樹の中に割込むのだ。二人を突き離せないのか。遅まきながら気が付いたのさ。

         彼は彼、僕は僕

とね。此んなの男女の鉄則の初歩なんだ。彼は大物だよ。お前と珠樹を自由に泳がせてるだろう。お前に其れが出来るかってのがニューヨークなんだ。珠樹が其処で彼を落とそうとセックスし様とドウシテ祝福して上げられ無いんだ。やっぱりお前はチッポケな男だな。考えてご覧。珠樹は二人を愛せる女性なんだよ。現に其れを実行してるだろう。少しは見習ったらドウなんだ。目を覚ませよ。現実で生きたらドウなんだ。