跡見に送って行くのが定番に成ったのさ。
「 此れで好いのよ。跡見は小日向の残りなのよ。麻布に慣れて貰うのには時間が掛かるよ。」
「 判るけど、桜の我儘が過ぎると思わないかい。送って来ても音羽警察の前まででしょう。学校に行ったのか、其れとも講道館に行ったのか判りゃし無いのだよ。」
「 其れで好いのよ。あの子の若さは誰が見たって特別に感じるのよ。講道館だって日本の12才が見学してても入館を勧めるなんて無い筈なのよ。仮に外国の女性を誘うコマーシャルだとしても、ブロンドだけで入れたのとは違うのよ。青山が言ってたのに、
娘の鹿賀が桜の若さには心を動かされた
そうなのよ。今12でしょう。大學まで行くとしたら22・3には成るのよ。10年人間をお勉強すれば、やっと一人前に成るのじゃ無いかしら。」
夫人は僕の見て無い所を見てたのさ。不思議な人だと思ってた僕が勉強不足だったのさ。キッチン会議に呼び込むのも
桜の歳に成ってジャレルから私も若返るのよ
と言ってたけど、其れは一面に過ぎないのさ。外から見てると一つずつお屋敷の有り方を教えてるのだよ。
焦ってはダメよ。私の12才はもっと
子供だったのよ
と仰いますが、其れって僕の足りなさを言ってるのだよ。だって此の人の12才には、もうご主人と出来てたのだよ。14才で生まれた長男に関しては決して口に出さないでしょう。深い思い入れが有るのは判るけど、14才の出産を恥じてる一面も有るのだよ。其れくらいは察して上げるのが僕の大人のおノウの仕事なんだ。ずーと昔を振り返って考えると、子供のノウミソの方が大きかったんだ。20人の娘の売春の手筈を付けたのも大人の性感と倫理観と言うのかな、兎も角女衒に見つからない様にするしか考え無かったのさ。不思議でもなんでも無かったんだ。最初の日に市場の地下の大浴場で親方たちと混浴してジャレ捲ったのに、親方たちは子供帰りしてチンチがイキガラ無かったのさ。今に成って考えると、親方たちの子供のおノウを刺激されてセックスを忘れた結果だったのさ。
やっぱり夫人は28才だったのさ。
「 当たり前でしょう。青山には言われてたのよ。
桜様と巧くかみ合いますかな
とね。お嬢様の鹿賀夫人に聞いて居らしたのね。其んなの百も承知よ。此の屋敷でモンモンとしてた12年を判って貰おうとは思いませんのよ。あの日は私のアカラサマの性の疼きに直ぐ気が付いたのよ。だけど功との相性に牽きづられたのよ。功の顔を見てる内に、性の焦りは私と同じだと気が付いたの。桜が言ってた毎晩の夢精なんかウソに決まってたのよ。そりゃ、3年だか5年だかは知らないとしても、私と同じくらい苦しんでたのは察したのよ。功の虚ろの目が私の眼に感じたの。ですから知ってるセックスの全部をぶつけて見たの。其れを全部受けて呉れたのよ。嬉しかったわ。女に取って性の興奮を、そっくり受けて同じ様に応えて呉れる男は少ないのよ。だから功と暮らして見ようと思ったの。」
「 判ると言うのが大人なんでしょうが僕は子供だよ。今日は凄く欲しいんだ。だから真っ直ぐ帰ってよ。」
で屋敷に戻ったのさ。夫人は合わせて呉れたんだ。玄関ポーチから脱ぎ始めて
「 待って、コーラを持ってくのよ。ドンペリが好いのだったら―――」
其の先なんか言わせないよ。もう漏れ掛けてたんだ。キッチンの料理台に倒して始めちゃったんだ。第一発は子宮口を閉じて洩らさなかったのさ。口を指差すのでお腹の中を駆け巡って口に昇ったのが判ったのさ。だから僕のデカイ口で受けたんだ。栗の花では無かったのさ。やっと教えて呉れたフリージャアの香りだったね。
漢方の先生に教わったのよ。フリージャア
は女のフェロモンなんですって
其のフェロモンの攻撃が襲って来たんだ。焦ったよ。バスは飛ばしてクイーンズに駆け込んだのさ。其れからは夫人の独断場に成ったんだ。何時の間に持ち出したのか馬乗りに成ってドンペリをラッパ飲みを始めたのさ。不思議なんだが女性の口は下の口と繋がってるのだね。僕の息子が酔っぱらっちゃったのさ。勝手に暴れ出したから堪らない。クイーンズから落ちて、床を転げ回ったんだ。お昼を廻ってお腹がぺこぺこに成るまで暴れたんだ。夫人も喧嘩に合わせて呉れるから止まらない。無言のケンカって面白いのだよ。お互いに娘と息子が勝手に喧嘩してるのさ。つばを吐き合って催促するのだよ。ペルシャだか何だか知らないジュータンを流れる二人のつばは溜まる一方なんだ。後で夫人が大笑いしたのさ。
「 戦場の跡って此うなるのね。二人だけの部屋にしときますから、メイドが居ないのって好都合なのよ。」
だったのさ。桜が帰る時間にはストップが掛かったよ。其れが無かったら又、8時間に成ってたと思うんだ。
帰って来た桜をからかうのさ。夫人がだよ。
「 何てお顔なの。10年経ったら同じ栗の匂いに咽ぶように成るのよ。性教育って難しいから10年掛からないと卒業には成りませんのよ。私だって28年掛けてやっと満足を覚えたのよ。此ればっかりお外では教えて呉れないのよ。つま先立ちは止めて、しっかり両足を踏ん張って頑張りましょう。」
酷いと思うでしょう。母親だって控えてる仕打ちを桜にぶつけるのさ。
「 功が勘違いしてる所も有るのよ。性の開きは様々ですけど、桜は跡見で揉まれたのを違う様に受け取ったのよ。私、聖心で教育されたから判ってるの。特別の席に座らされたのと性教育とがゴッチヤに成ってるのね。私の時は性の大人が早かったのでストレートにぶつかって行ったのよ。桜はラテンのいじめが大きく圧し掛かってたのね。其処へ功が飛び込んで来たでしょう。性のチグハグが混乱の元と成ったのよ。夢精のお話だって大人の男と寝て居れは無いのが不思議な位なのよ。其れをお口に出すのは、女の大人を言い立ててる心算なのね。焦ったらダメよ。自然の中でよじれを解しましょう。」
其の解しがバスを抜いて栗の花を振り撒くのに繋がるのさ。
「 功は難しく考え過ぎるのよ。親でも兄弟でも無いのですから。成る様に放っとけば好いのよ。其の内悟ると思うのよ。功の夢精を持ち出したおバカ加減をよ。」
僕は顔から火が出る位恥ずかしかったのに、夫人は別の受け取り方をしてたのさ。桜の性の拙さでは無く、言ってはいけない表現も知らないおノウの浅さを見抜いてたんだ。桜は程ほどの賢さだよ。夫人に言わせれば、
賢いのを顔に出すのはおバカの裏返しを
知って貰いましょう。10年掛けてね
だったのさ。