キッチン会議は定番に成ったのさ。僕とトイレの大理石を外すと、お二人の溜まりに溜まったモロモロは一気に噴き出したんだ。夫人は18才で凍っちゃったと仰ってたけど、性のうっ憤を僕って牡馬を見つけて一挙に発散しちゃったのさ。桜は背伸びを続けて居たのに、僕は暮らしを治すのから入ったので、おツムは15・6で止まった儘だったのさ。性の悩みは8時間で空のかなたに飛んでっちゃったよ。28年溜めてたモロモロは、15・6の桜を見つけて今はバックしてるのさ。何となく僕にも判るんだ。恐らく此の28年を、人目を気にして暮らして来たと思うんだ。僕に跳び付いたのも―――将に跳び付いたんだけど、縛られてた思惑が解かれればあー成っても不思議では無かったよ。一挙に18才の普通に戻ったから、今はファックを望まないのさ。セックスは有るよ。其れが流し目に現れるけど、其れ以上は望まないのさ。兎角日本では、女性の性は隠す様に出来てるのだね。明治までは女性の性は大らかだったのさ。離婚の決め何で無かったし、公衆浴場でも男所の仕切りの壁は下半分は切れてて、かなり混浴が進んでた様なのさ。女風呂には銭湯が示す様に、貨幣の分にも現わさない銭の手札が通用してたのさ。其の銭で、背中を流すサン介が居たのだよ。明治以後もサン介は残ったけど、其の様相は変わってた様なんだ。


    男は性の快楽を求めるのにお金が必要だったのさ。逆に女性は、かなりの解放が認められてたのだね。其れが明治で一挙に西洋様式が取り入れられて、世の中の仕組みが狂い出したんだ。男にも離婚が正式に成ったのだけが取り入れられて、其れまでの風習が狂っちゃったのさ。良く言う

           三行半

ってのは、離婚の権利を認める難しさを表してたのだよ。其の紙ッペラが一人歩きをした結果、畠山夫人の様に性の我慢を強いられる女性が現れたのさ。夫人は狂ってたのじゃ無いのだよ。極々普通の28才だったのさ。青山さんと話し合った事が有ったけど、

    「 突然のご当主の他界には、組織は慌てたのです。幸いお二方の後継ぎが居られましたので、私の強い要求で奥様を畠山に移って頂いたのです。資産の相続は、不動産に関しましては麻布のお屋敷を含む10か所程度で収めたのです。あの方は資産に関するご意見をお持ちでは有りませんでしたので、逆にお立場上岩崎を守るのに過剰な意思をお持ちだったのです。一つにはお生まれに成って直ぐご別居に成られましたので、お子様をお守りに成るお気持ちが先行して居たのです。其れをお忘れに成って新たな伴侶を探されるのを望みましたが、あのお歳での12年は、良くぞ持ち堪えたと陰ながら安堵した次第です。」

    とも言われたのさ。実は夫人は、全部承知して居たのだよ。確かに僕で爆発したけれど、ラテンの桜を話し相手に選んだのさ。実は1年前からご息女の鹿戸夫人を介して桜を狙ってたフシは有るのさ。其れとは別に青山の執事の方は、僕の調べを徹底してたのだね。不思議にしては出来過ぎた偶然だと思ってたけど、どうやら余丁の東大内科の医長が噛んでたとも思えるのさ。年齢からして余丁夫人との中を復活しても有り得る事だったのさ。加えて其の年内に、内科を統率する医局の部長に抜擢されたのを見ると、ドウも岩崎コンツェルンと筋が通って居たとも思えるのだよ。有る意味、畠山夫人の飼い殺しを狙って僕が選ばれたとも思えるのさ。

         夫人は桜様を話し相手に為さって居られる

         様ですね

なんて恍けてるけど、したたかなタヌキは青山執事かも知れないのさ。


    「 気を付けて見てると、前のぼろ家に屈強な男たちが出入りしてるのだよ。」

    「 やっと気が付いたのね。あの連中麻布署のデカなのよ。家を監視してるのでは無いのよ。お隣のフランス領事館と反対側のドイツ公館を見張ってるのよ。警視庁管内には98の警察署が有るけど、麻布署はナンバーツーなのよ。

あの見張所は麻布署が管轄してるのだけど、ポリたちは内閣府に所属してるのよ。此処に住む様に成って直ぐ、外務省のお役人が訪ねて来たの。あの見張所の説明をして、岩崎コンツェルンの了解が欲しいって言って来たの。返事なんかしませんのよ。青山が処理するに決まってるでしょう。外務省なんておバカさんなのよ。両方とも畠山の名義には成ってるけど、家賃は大蔵が払ってるのよ。つまり不動産を勝手に移転され無い様に陰の管轄は大蔵に成ってるの。ガスも水道電気も総務省が払ってるのよ。ねっ、面白いでしょう。此の屋敷のガス電気も総務省が支払いますって言って来たけど断ったのよ。おバカさんだから青山を通せば好いのにでしゃばったから出入り禁止にして置いたの。ホントは其れがドウコウには成らないのに、かなり外務省のお叱りを受けたみたいなの。好いのよ、前の見張所がポリボックスだから、カギなんか掛けなくても何日屋敷を開けても火事や泥棒さんは心配ないのよ。」

    なんだってさ。それにしても庭の手入れ位すれば好いのに、伸びっ放しの草は身の丈よりも伸びてるのだよ。二日目に庭の調べをしたんだけど、押し倒されてチュッチュ攻撃の洗礼を受けたのさ。ジーンズの前が持ち上がらなかったので解放されたんだ。桜が地下室のプールを見つけて来たので、庭にプールを作れとは言わなく成ったのさ。

    「 地下室に、25メーターのプールが有るのよ。何でプールなんか作ったのかしら。」

     「 プールでは有りませんのよ。メイドさんだけでも100人は居たの。私と折りが会わなくて皆んな出て行ったの。其の人たちの制服のお洗濯だけでも大変だったのよ。其れが汚れたお洋服を着てるのよ。事務長に聞いたら私服をクリーニングしてたのね。クリーニグの設備だけでも白洋舎より大きいのよ。しゃくに障ったので全部止めちゃったの。そしたらサボタージュを始めたのよ。ですから皆様方、お引き取り頂いたの。」

    調べたら確かにベラボーナ設備が有ったのさ。全部シートを被せて有ったので、直ぐにも動かせるとは思ったよ。ボイラーだってチョットした工場の其れなんだ。

    「 此れは手を付けない方が無難だよ。洗濯なら僕が遣るよ。」

に成ったのさ。


    所が事件勃発なんだ。桜がフランス領事館の保育園を作ると言い出したのさ。

    「 おかしいと思わない。フランス領事館の境には何も植えて居ないのよ。其れに引換えドイツ公館の境には、モミの木を植えて有るのよ。何か訳が有るのかしら。」

    夫人が教えたんだ。

    「 元々フランス領事館の境にも、モミの木を植えて有ったのよ。二階から見れば判るのよ。ドイツのお住まいは、塀に沿って建てたのね。其れに引き換えフランス領事館の塀際は、駐車場に成ってるのよ。冬に成るとモミの枯葉が駐車場に山積みに成るのね。枝を切る様に大使館から云って来たので、庭師の人たちが全部切っちゃったの。

          低木を植えましょうか

と、云って来たので放っとく様に言い付けたの。凄くサッパリしたのでドイツの官舎も切ろうとしたのに、あのモミの木は目隠しにも成ってるって其の儘にしてるのよ。」

    「 言われて見れば判るのよ。ドイツの公館は東側でしょう。ドイツ人って西日を嫌うのね。ですから塀一杯に官舎を建てたのね。窓もチッサイノが一つ有るだけでしょう。気質が判る気がするのよ。」

    「 あれは内で建てたのよ。青山が教えて呉れたの。設計図を持って来て、其のままに建てたのですって。

          家賃は日本政府が払うのだから

          もっと余裕の有る建て方

を勧めたんですって。あの人たちはドイツが一番だと信じてるのね。ですからモミの木も手入れをし無いで放って有るのですって。」

    僕は知った事じゃ綯いと持ったよ。ところが桜が言い出したんだ。

    「 先ずお庭の草を刈りましょう。幾らなんでも此れではお化け屋敷よ。裏の防風林は素晴らしいと思うけど、表が此れではサマに成りませんのよ。草を刈ってから考えましょう。」

    軽く言って呉れるよ。荒れた庭の広さだってテニスコートが10面も取れる程広いのだよ。仮に芝を植えたら手入れだけで学校には行けなく成っちゃうよ。ところが夫人が乗り気に成ったのさ。

    「 ご先祖の代からの庭師なのよ。棟梁はもうヨボヨボなんですが、そろそろ代替わりを考えても好い頃だと思ってたのよ。庭の手入れをすれば遣る事は山ほど有るのよ。テラスだって半分腐ってるでしょう。私が精神に行ってた頃は、お庭のパーティーは多かったのよ。ですから草を刈ったら何が出て来るか見たいのよ。」

    だったのさ。桜は言い出しッペだけど、屋敷の造作はサッサと夫人に取られて剥れてるのさ。僕は夫人に乗ったのさ。地下室のプールの件でも、桜を放って置く限界が有るのだよ。まだ落ち着くには間が有ると思うけど、夫人は桜を立てるのでしぼんでる向きも有るのさ。若返るのは応援するとしても、やっぱり28才のご当主も居て貰わなくては困るのさ。早速庭師の棟梁が来た。僕にお辞儀をしたので、ペロッと舌を出して答えたのさ。

    「 いや、聞きしに勝る強者ですな。好いでしょ、草を刈って貰いましょう。」

    誰に聞いたのかは知らないよ。夫人の煽てが有ったとしたら、逃げ出す心算だったのさ。其れを草刈りを言うのは逃がさないって宣言なのさ。ニャッと笑って答えたのさ。