今回は先天性心疾患で最も多いＰＤＡについて簡単にアップさせていただきます。
動脈管開存症（ＰＤＡ：どうみゃくかんかいぞんしょう）
動脈管は、お腹の中にいるときに母親の酸素を使うため、肺を通らずに効率よく循環させる血管です。この血管は通常、生後数時間のうちに閉じてしまいますが、動脈管が閉まらず残った血管が動脈管開存症（PDA）です。
動脈管が開いているにより通常、左心室からすべて大静脈へ流れる血液が、一部肺へ流れ、その分全身に送れる血液量が減少します。減少分を補うため心臓の収縮や拍動回が増すことで数左心室に大きな負担をかけます。
さらに右心室は動脈管を通った血液があるために右心室から肺へ送る血液に力が必要となることで負担が増加します。
この状態が悪化すると左心室側から右心室側へ「左→右PDA」と動脈管を通して流れていた血液が、右心室側から左心室側「右→左PDA」へと流れる向きが変化します。これにより最終的に心不全を引き起こします。
PDAはマルチーズ、ポメラニアン、トイプードルなどの小型犬に多くみられます。
症状
左→右 の場合
無症状、疲れやすい、成長が遅い、稀に咳 など・・・
右→左 に場合
舌が紫色になる（チアノーゼ）
運動不耐性
運動時の失神、痙攣（多血症：酸素が少ないため赤血球が増加）
など・・・
特徴的な心雑音「左→右」のため動物病院・ペットショップで検診のときに発見されるケースが多いのですが、「右→左」になるとほとんど雑音は聴取できなくなります。診断は、超音波検査、レントゲン検査、心電図検査にて行います。
治療は、早急に外科手術による結紮またはコイルにより動脈管を閉鎖します。
にしむら犬猫病院 http://www.nishimura-vet.com