久しぶりに本を読んだ。



ある男が乙事主のような巨大な猪を仕留めた。

槍で心臓をつくのだが、普通の猪は10分ほどで出血多量で死ぬ。

しかし、巨大猪は15分しても死なないどころか、復活した。

けれど、大怪我を負わせている以上、そのまま見殺しには出来ない。最期を見届ける覚悟をして、槍を引き抜き再度心臓を突いた。

猪は死を覚悟したようだ。

そして、男を見つめたまま15分‥静かに息を引き取った。


その目には、男が想像していたような憎しみや怒りは一切なく、「この命お前に預けた」と言っているようだった。







以前にアイヌの本を読んだ。


動物は神様の化身で、撃たれる相手を自ら決めているという。

そして、死んでその亡骸を贈り物として与えてくれるのだと。




私は、先日、猫が持ち帰ったひな鳥の亡骸を自然にお還しした。

たくさんの存在が、その亡骸から命を繋いでもらうのだと思う。





動物の目は深い。


愛犬コロンはよく吠える。

以前は叱っていた。

最近は感謝する。

「コロン、見張りしてくれたの。ありがとね。お仕事ご苦労さま。」


彼の目が変わった。

深い眼の奥に優しい光がある。





種族は何であれ、死の淵であれ、

そして死んでも


魂は繋がる。