海外ロングステイ、これまでとこれから | 広島のプロ家庭教師~日々是好日~

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その日その日が最上であり、最高であり、かけがえのない一日であって、日々の、苦しみ、悲しみ、喜び、楽しみなど、今日を素直に受けとめ、自然の中で生きているということをかみしめながら書いていこうと思います。


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「シルバーコロンビア計画’92」というのを聞かれたことがあるだろうか?


今から約20年前、当時の通商産業省(現在の経済産業省)が、定年退職後の「第二の人生」を海外で送るためにと企画していたプログラムである。「’92」が付いているのは、コロンブスがアメリカ大陸を発見した1492年の500年後の1992年までに日本のリタイア世代(シルバー層)のコミュニティを海外に築こうという思いを込めたためである。当時の日本はバブル景気に突入した時期であり、1985年の「プラザ合意」後、急速に進んだ円高によって海外旅行がより身近になったこともあって、日本人の海外移住に対する関心が徐々に高まっていた時期でもあった。しかし斬新なアイデアで注目を集めたものの現実には様々な問題があり、結局は計画倒れに終わってしまった。


理由はいくつかあるが、第一に90年代に入ってからの深刻な不況が挙げられる。未曾有の好景気を背景にして大手企業は積極的に海外移住のための研究会なども開催し、建設業界も海外に「日本人村」を建設することによってビジネスチャンスが広がるとの見通しから参入意欲が旺盛だったが、バブル崩壊により一気に熱が冷めてしまったのである。

第二に諸外国からの批判があった。当時の日本は巨大な貿易黒字で外交摩擦問題を抱えていた他、現地の文化に溶け込もうともせず、閉鎖的な「日本人村」を作ることに対する非難が少なからずあった。更に「老人までも輸出」するのか、住宅や環境、老後の生活など日本国内で解決できない問題をカネの力で海外で解決するのか、といった批判も受けた。

第三に国内からの反発である。現実問題としてお金持ちの恵まれた人たちだけが、海外移住を検討できるのであり、彼らの楽しみのためだけに税金を使ってもよいのか、政府は庶民が暮らしやすい環境を整えることにもっと力を入れるべきだ、といった声が多くあり、マスコミもこれに同調していた。


結局、上(政府、官僚)からの<意識>改革は下(民間、庶民)からの反発を買うのである。海外ロングステイのアイデア自体は良いのだが、問題はその傲慢なやり方と当時の日本人の意識の低さにあった。日本人同士が不慣れな異国の地である程度固まるのは仕方ないが、20年前は今よりももっと排他的だっただろう。


※余談だが、このあたりの事情は現在進行中?の「(小泉政権以降の)構造改革」にも当てはまる。「官から民へ」のスローガンは必ずしも間違っていない。「小さな政府」を目指すということは国民の「自己責任」「意識改革」を促すうえでは必要なことだ。ところが相変わらず政府が旗振り役で国民(民間)は受身である。このままでは遅かれ早かれ国民の反発を招くだろう(次の参議院選あたりで)。民間が改革の旗振り役にならなければいけない。何事も根本的な問題は上からの改革だけで成功することなど世界の歴史上ほとんど例がない。FP業界についても同じだ。


さて現在はというと、海外での長期滞在、海外移住のニーズは静かに、着実に高まってきている。以前ほどの爆発的なブームではないが、これは不況を経験した日本人がいくらか冷静さを身に着けたからだろう。海外生活をテーマにした書籍もいくつか出版され、「ロングステイ財団」などの研究組織が主催するセミナーも活気を帯びてきている。最近の傾向としては、ハワイ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの英語圏に加えて、タイ、マレーシアなどの東南アジアの国々に人気が集まってきている。一方、当初渡航先として注目されたスペインなどは気候は快適だが、東南アジアよりは生活コストが掛かること、英語が必ずしも充分に通用しない、などの理由で実際には現地にゆかりのある日本人(駐在員など)を除けばそれほど人気はないようだ。


先日、一緒に仕事をしている広島のFP会社ライフアンドマネークリニックが主催した「ロングステイセミナー入門講座「タイ」編」に参加させてもらった。講師をされた広島タイ交流協会の岩谷さんにいろいろ伺ったところ、意外な現状が分かった。


特に気になる生活コストだが、一部で言われているような「月12万円以内、年金だけでご夫婦ゆったりと快適に過ごせます」といった広告案内は決して正確ではなく、むしろ大きく現実と乖離しているらしい。確かにタイは治安も比較的良く、安全で、医療施設なども素晴らしく、環境面でも全く不便はないのだが、せいぜい首都のバンコク、北部のチェンマイ、南部のホワヒンくらいがロングステイに適しているくらいで、特に都市部での生活コストは快適さを求めれば日本より生活コストは高い。それと気候は「一年を通して温暖である」と広告案内にはあるが実際はとても暑く、比較的温暖といえるのは12~1月くらいである。それと英語はそれなりの階層の人を除けば、まず通用しないので、現地のコミュニティに溶け込むためにはある程度のタイ語の習得は必須である。もちろん日本人コミュニティはあることにはあるが、前述したとおりそれだけでは(国際人として)寂しいものがある。


それでも海外ロングステイの魅力はある。やはり日本では決して体感できない時間の流れ、空気、環境、異文化との触れ合い等であろう。私も将来は異国の地でゆったりと執筆活動をしたいと思っている。今後日本人が第二の人生を如何に有意義に過ごすか、というテーマはますます大きなものになります。そして海外ロングステイは選択肢の一つとして定着していくことでしょう。



FP事務所R&Aコンサルティング CFP 西本健

コラム(FP講座)http://www.randac.com/column.htm


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