○タコ部屋での条文作成
法律を作ることがきまると執務室の片隅にひっそりとタコ部屋がつくられます。そして各課から一人程度入省10年目ぐらいまでのイキのいい若手が送り込まれます。
タコ部屋の由来はタコ壺と一緒で、中からなかなか出てこないから。1月2月を忙しさのピークとして、数カ月の間、法案作成をします。

※だから法案作成ってなんだっーんだよって人は、これを読んでね。

○タコ部屋のいいところ
タコ部屋の唯一いいところは日頃の業務から開放されるところです。
通常の業務では、ちょくちょく締切短めの依頼がわいてきて、仕事のコントロールが難しい。
一方、タコ部屋のミッションは「国会で議論するにふさわしい法案をつくること」なので、自分の仕事に集中できます。
※あともう一ついいところをあげるとすれば、いろんな人が差し入れをくれるところ。
ただ、偉い人がリゲインを差し入れしてくれた時は「24時間はたらけってことか?」と震えましたが。

○タコ部屋での日々
審議会でとりまとまった意見などを参考に法律の条文を作ったら、省の中枢である官房総務課係長(同期の中でとっても賢い人がつくポストです)で中身をチェックしてもらいます。

官房総務課の係長のチェックが終わったら、法制局参事官に確認をしてもらいます。というか、ハマちゃん並の厳しいツッコミ(ごもっともなことがほとんどですが)を受けつづけ、ひたすら条文を訂正します。
何回も同じ資料を修正しているとバージョン管理が死活的に重要(しょうもないことみたいですが、これをミスると多大な労力がかかる(経験あり。))です。
その他にも、改正漏れがないか、それこそ何百回も同じ条文を読み直します。(冗談抜きでゲシュタルト崩壊をおこします)
それもこれも正確な条文を作るため。
条文構成のミスでで意図されていたことが表現できなくなっていたら大問題です。

○タコ部屋は精神と時の部屋
タコ部屋を一回経験すると、法律全体の一貫性や過去の法律改正の経緯なんかに精通します。
国家公務員なら一回はやっておくと、短い期間にたくさんのことを学べるのでとても成長します。
まさにドラゴンボールの精神と時の部屋。
ちょっと違うのは、日常生活よりも、老け込むスピードが早いことですかね。。。
そう考えると、むしろ玉手箱的な感じ??

一回でも経験した人は「いい経験だったけど、もう二度とやりたくない」という人が多い気がします。過去の大恋愛みたいなもんですかね。素敵な思い出にとどめたいみたいなもんですね。

○出荷された法案の行方
そんなこんなでタコ部屋から出荷されたたこ、もとい、法案は、内閣が提出する法案として閣議決定されます。
そして法律を実際に世の中に出してよいか検討する国会で議論され、議員の皆様に「イイネ!亅とお墨付きをいただいた場合、皆さんのお手元に届く(施行)、ということになります。

皆さんの周りに存在する無数の法律はこんな感じで作られています。
なんとなくイメージわきましたでしょうか。

少しでも法律の作られ方、公務員の働き方に理解が深まったなら、幸い!です。