妊婦貧血は全妊娠の約 20 %にあり、鉄欠乏性と葉酸欠乏性があります。貧血が続くと、胎児に必要な酸素の供給がされず、胎児の成長と脳の発達に影響がでます。母体の多くは無症状ですが、酷い場合は、酸素の不足から動悸や息切れ、頭痛、めまい、倦怠感、顔面蒼白などの自覚症状が現れることもあります。重症貧血(Hb≦6.0 g/dL)では胎児死亡のリスクの上昇、妊娠高血圧症候群や分娩時の出血量の増加、産後の回復が遅いなどの原因となります。

 

鉄欠乏性は妊婦貧血の約90%を占めるといわれています。妊娠中は、鉄の基本的な需要の増大に加え、胎児の赤血球を作るためにも鉄が必要です。

葉酸は「造血のビタミン」ともいわれるほど、血液を造るために重要な存在です。そのため、葉酸不足に陥ると、赤血球の素となる赤芽球がうまく細胞分裂が出来ず、巨大化し、赤血球になれないまま消滅する巨赤芽球性貧血の原因となります。

 

食品に含まれている鉄は、肉や魚など動物性の「ヘム鉄」と、野菜や豆類など植物性の「非ヘム鉄」があります。非ヘム鉄はビタミンCやタンパク質を組み合わせると吸収率が良いので、鉄の食材以外にもビタミンやミネラルなどを摂り、バランスの良い食生活を心がけてください。サプリメントなどの栄養補助食品を利用するのも良いですが、自己判断はせず、かかりつけ医に相談し、あなたに必要な摂取量を知り、正しく摂取するようにしましょう。

 

 

西川婦人科内科クリニック