鏡の前で固まっているあんず。
映りこんだ自分の姿がわかっていません。
「だれだ、こいつ…。僕のこと見てる」
「うしろにいるの」
「いない…」
「きもいから、ちょっと離れてみよう…」
でもやっぱり気になる様子…。
「そうだ、反対側にいるかも…」 「いない…」
「でもいる…」
「ねえ、君はだれ」
「おいおい、返事くらいしろよ」
「なんか…ヘン。どうなってんの?」
ちょっと離れてしばし観察。
痺れを切らして再びチャレンジ。
「ねえ、どうしたらそっちへ行けるの?」
「こっちからじゃないし…」
「どうして黙っているのさ…」
「ねえ、お母さん。こいつヘンだよ」
初めての鏡に戸惑うあんずでした。