３rd.アルバム『かもめより白い心で…』

２nd.アルバムを発売して

意気揚々と船出したつもりの私でしたが

半年もたたないうちに暗礁に乗り上げてしまいました。

気が付くと気持ちばかりが先走り、

前に進めなくなっていました。

何の心構えもなく飛び込んだ世界は

決してたやすいものではありませんでした。

「もう止めよう・・・」

と決意して事務所もやめました。

そんなある日、制作部長の青柳さんから電話があり

「周りを気にせず、あなたがやりたいことだけやればいい・・・」

と言われ、もう一度やり直す決意をしました。

塩崎さんから「若い者と自由にやって見ろ」と言われ

新人のディレクターの庵さんを紹介されました。

庵さんは、エレックレコード時代の上司だった門谷憲二さん

（当時は作詞家になっていた）を連れてきて

「西島三重子スタッフを作ろう」と言いました。

そして古井戸の加奈崎さんと

そのプロデューサーの村上さんが加わり、

チームが出来上がりました。

どんな歌を作るか、門谷さんとのやり取りが始まりました。

始めは『西島三重子の世界』を模索していましたが、

そんなときふと思い出したのが

麻生さんから預かっていた『紙ひこうき』という詞でした。

『紙ひこうき』は麻生さん自身が温めていた詞でした。

私が一番迷っているときに作曲したのですが、

もう世に出ることはないだろうと思っていた曲でした。

みんなに聴かせると、思いのほか好評で、

アルバムの中に入れることになったのです。

風に乗って飛び始めた『紙ひこうき』は、

再び動き始めた私自身だったのかもしれません。

『花いちもんめ』に始まって『一文なしのジョニー』

『口笛を吹かないで』と次々と詞が出来上がってきました。

そんな中、合宿をしようということになりました。

加奈やんの奥様がお世話係を引き受けてくれ、

みんなで蓼科の山荘にこもり、制作に励んだのでした。

いろんな思いが沢山詰まったアルバムはこうして完成し、

『かもめより白い心で…』と題され

1978年6月25日、発売されました。

『かもめより白い心で…』

　１．口笛を吹かないで

　２．想い出づくり

　３．ラブレターというミュージカル

　４．花いちもんめ

　５．一文なしのジョニー

　６．ＳＥＲＥＮＡＤＥ（セレナーデ）

　７．花吹雪ひゅうひゅう

　８．紙ひこうき

　９．スパゲティ・ラグタイム

１０．仮縫い

１１．かもめより白い心で・・・

１２．想い出をふりかえらずに

　　今回のこのアルバムの中には

　　そのあとにシングル盤で発売された

ＴＢＳドラマ『みずきの花匂うとき』

　（若尾文子・田村正和・二谷英明主演）

の主題歌

　　『思い出をふりかえらずに』が

　　ボーナス・トラックとして入っています。

　　　　　　　　　　　　　・・・・・・・・つづく