また逢う日まで
久場さんと別れてから東山湖に行ったのは
3時過ぎでした。
秋の陽ざしを浴びて
奥の駐車場の入り口で待っていたのは
数日顔を見せなくても
いつも何事もなかったかのように顔を出すクロベエ。
餌をあげていると、ロクが来ました。
今日はおばさん(ママの妹)と一緒です。
「どうしても会いたいって
言ってたんですよ」
今日は私たちがいつもより時間が遅くなったので
ロクはもう会えないと思ったようで、
買い物の帰りに寄ってみたそうです。
私たちも思いは同じで
会えなければロクのおばあちゃんの家に
会いに行こうと思っていました。
クロベエにもさよなら…。
ロクは明日の午後、
ママのお友達に連れられて東京へ行きます。
そして明後日の飛行機で一緒にネパールに帰ります。
私は明日は沼津に行くので
もうロクには会えません。
でもきっとまた会おうね。
最後にもう一度しっぽを抱きしめて…
「バイバイ…」
車の中から手を振り続けるロク。
「ロク、元気でね~。
ちゃんと食べて、大きくなってね」
湖岸に佇むクロベエとしっぽ。
もうロクが来ないなんて、
しっぽはわかっていません。
釣り客にすり寄るクロベエ。
あんずは餌を食べ終わっても帰ろうとせず、
みんなのそばにいます。
いつものように陽が沈みました。
我が家の前の駐車場からの富士山です。
富士山はこうしてここに在ります。
ただ、静かに、ここに在ります。
そのことに、ときどき圧倒されます。
写真を撮って帰るとき、
お向かいの真帆ちゃんが
「バイバイ」と声をかけて手を振ってくれました。
パパと一緒の時の恥ずかしがり屋さんは
すっかり消えたようです。
真帆ちゃんの笑顔が
とっても嬉しく感じる夕暮れでした。